住宅の税金

不動産取得税の住宅の軽減措置:控除額と手続き

新築住宅の不動産取得税は、課税標準から1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)を控除する特例があります。控除後の課税標準の計算例、長期優良住宅の要件、買取再販住宅の特例の対象を整理します。

この記事のポイント

  • 新築住宅の不動産取得税は、課税標準から一般住宅特例で1,200万円、長期優良住宅で1,300万円を控除します。
  • 課税標準が1,200万円以下の住宅では、一般住宅特例だけで控除後の課税標準が0円になります。
  • 長期優良住宅の特例は床面積40㎡以上240㎡以下などが要件で、都道府県の条例に従って申告します。
  • 買取再販住宅の不動産取得税の特例は、購入する個人ではなく事業者の取得にかかる税を軽くするものです。

新築住宅は課税標準から1,200万円、長期優良住宅は1,300万円を控除

不動産取得税は、住宅や土地を取得したときに都道府県が課す税です。国土交通省の説明によると、新築住宅に係る不動産取得税には課税標準から一定額を控除する特例があり、一般住宅特例の控除額は1,200万円、認定長期優良住宅の特例では1,300万円に増額されます。

計算例として、家屋の課税標準が仮に1,800万円なら、一般住宅特例を受けた後の課税標準は600万円、長期優良住宅なら500万円です。課税標準が1,100万円のように控除額を下回る場合は、控除後の課税標準は0円になります。税額は控除後の課税標準に税率を掛けて計算されますが、税率や課税標準となる価格は都道府県の案内や通知で確認してください。

国土交通省のモデルケースでは、固定資産税評価額(建物)を2,880万円としています。仮に家屋の課税標準がこれと同じ水準なら、控除後の課税標準は一般住宅特例で1,680万円、長期優良住宅の特例で1,580万円となり、100万円分の上乗せがそのまま課税標準の差になります。

新築住宅の不動産取得税の課税標準からの控除額
  1. 一般住宅特例1,200万円
  2. 長期優良住宅の特例1,300万円

出典:国土交通省:認定長期優良住宅を取得したときに利用できる減税制度

グラフの数値を表で見る
新築住宅の不動産取得税の課税標準からの控除額
項目値
一般住宅特例1,200万円
長期優良住宅の特例1,300万円

控除後の課税標準を3つのケースで比べる

新築住宅の家屋の課税標準(仮定の金額)から控除額を差し引いた額
課税標準(仮定)一般住宅特例(1,200万円控除)長期優良住宅の特例(1,300万円控除)
1,100万円0円0円
1,800万円600万円500万円
2,500万円1,300万円1,200万円

控除額は定額なので、課税標準が大きい住宅ほど控除後の課税標準が残ります。長期優良住宅の特例による上乗せは100万円分の控除で、課税標準が1,200万円を超える住宅で差が出ます。1,200万円以下の住宅では、一般住宅特例だけで控除後の課税標準が0円になるため、長期優良住宅の特例による違いはありません。

なお、ここで扱うのは家屋の課税標準の控除です。土地の取得にかかる不動産取得税の扱いは、この表には含めていません。

長期優良住宅の特例の要件と申告

国土交通省は、長期優良住宅の特例を受けるための主な要件として次の2つを挙げています。

  • 登記簿上の家屋の床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下であること
  • 令和13年3月31日までに新築された住宅であること

手続きは「都道府県の条例で定めるところにより申告」とされています。申告の期限や必要書類は都道府県ごとに異なるため、住宅のある都道府県の税事務所の案内を確認してください。一般住宅特例の要件の詳細も、本サイトが参照した資料には書かれていないため、同じく都道府県に確認するのが確実です。

長期優良住宅の各種の税の特例は、適用を受ける本人が自分で手続きをする必要があると国土交通省は案内しています。所得税は税務署、固定資産税は市区町村、登録免許税は法務局(登記時)、不動産取得税は都道府県税事務所と、手続き先がそれぞれ違う点に注意しましょう。

買取再販住宅の特例は、事業者の取得が対象

宅地建物取引業者が中古住宅を買い取り、一定の質の向上を図るための改修工事をしたうえで個人の住まいとして売る「買取再販」については、国土交通省が別の特例を設けています。

  • 不動産取得税:宅地建物取引業者がその住宅を取得するときに課される不動産取得税が減額されます。対象住宅が「安心R住宅」である場合や既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入する場合は、敷地の取得に課される不動産取得税も減額されます(適用期限:令和9年3月31日)。
  • 登録免許税:個人がその住宅を取得した場合、所有権移転登記の登録免許税が軽減されます(適用期限:令和9年3月31日)。

つまり、買取再販住宅の不動産取得税の特例は、購入する個人ではなく、事業者の取得にかかる税を軽くする仕組みです。購入者が受ける不動産取得税の扱いは、都道府県に確認してください。

長期優良住宅の特例を受けるには、着工前の認定が必要

控除額1,300万円の特例を受けるには、住宅が認定長期優良住宅であることが前提です。国土交通省の説明では、認定通知書は次の流れで入手します。

  1. 着工前に登録住宅性能評価機関に申請し、構造等の確認を受ける。
  2. 建築主または分譲事業者等が、所管行政庁(都道府県・市・区)に長期優良住宅の認定を申請する。
  3. 認定されると、所管行政庁から認定通知書が発行される。

建売住宅や分譲マンションの場合は、分譲事業者が購入者や管理者等と共同して計画の変更の認定を申請し、変更認定通知書を取得する手続きがあります(戸建ては譲受人の決定から3か月以内、マンション等は管理者等の選任から3か月以内)。購入を検討している住宅がすでに認定を受けているか、引渡し後にどの書類を受け取れるかを、契約前に確認しておきましょう。

不動産取得税は入居後の資金計画に入れておく

不動産取得税は、住宅ローンの借入額や月々の返済額とは別に、取得後に納める税です。入居後に慌てないよう、手元資金の計画に含めておきましょう。

特例の対象になれば税額がかからない、または小さくなる場合もありますが、申告が必要な都道府県もあります。購入時には、登録免許税や印紙税、ローンの手数料など、ほかの費用もかかります。費用の全体像は住宅ローンの諸費用一覧、現金でいくら用意するかは住宅購入で必要な現金で整理しています。

長期優良住宅の税の軽減を一覧で確認する

国土交通省は、認定長期優良住宅の税の特例として、所得税(住宅ローン減税・投資型減税)、固定資産税、登録免許税、不動産取得税をまとめて紹介しています。モデルケース(住宅価格4,800万円・借入4,300万円・固定資産税評価額(建物)2,880万円など)では、住宅ローン減税で326万円、登録免許税・不動産取得税・固定資産税の特例をすべて適用して91万円の軽減と試算されています(実際の額とは異なるとの注記つき)。

固定資産税の減額期間は新築住宅の固定資産税の減額、住宅ローン控除の区分ごとの違いは省エネ性能と住宅ローン控除で説明しています。

税の軽減を含めて資金計画を試算する

不動産取得税そのものは本サイトの計算ツールの対象外ですが、住宅ローン控除は住宅ローン控除シミュレーションで、住宅の区分(認定住宅・ZEH水準など)ごとに試算できます。

手元資金を税や諸費用に回したあとの借入額で月々の返済額を確認するには、返済予算シミュレーションで返済予算から元金の目安を逆算するか、借入額が決まっていれば金利上昇シミュレーションで返済額を計算してください。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。