この記事のポイント
- 必要な現金は頭金+諸費用(+引越しなど)で、諸費用は物件価格の5〜10%が一般的な目安です。
- 4,500万円の物件で頭金1割なら、諸費用と合わせて675万〜900万円の現金が必要な計算です。
- 35年・年1.0%の例では、頭金を450万円増やすごとに毎月約1.3万円、利息は約84万円減ります。
- フラット35では融資率が9割以下か9割超かで借入金利が異なります。
住宅購入で必要な現金=頭金+諸費用(+引越しなど)
住宅購入で用意する現金は、物件価格のうち借りない部分である「頭金」と、税金・手数料・保険料などの「諸費用」に分けて考えます。さらに、引越し代や家具・家電の購入費も、購入と同じ時期に必要になります。
計算例として、物件価格4,500万円で頭金を1割の450万円入れる場合、諸費用を物件価格の5〜10%とすると225万〜450万円となり、頭金と合わせて675万〜900万円の現金が必要になる計算です。諸費用の割合は全国銀行協会の解説にある一般的な目安で、実際の金額は見積りで確認します。
頭金と諸費用を分けて考えるのは、性質が違うからです。頭金は借入額を減らし、毎月の返済額と利息を小さくする効果があります。諸費用は購入や借入れのために払うお金で、払っても借入額は減りません。同じ現金でも、どちらに使うかで家計への効き方が違います。
諸費用の目安は物件価格の5〜10%
全国銀行協会の解説では、住宅取得には税金や手数料、保険料などさまざまな諸費用がかかり、トータルの金額はケースバイケースですが、物件価格に対して5〜10%程度が一般的とされています。主な項目は、印紙税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税の精算、融資手数料、保証料、司法書士報酬、団信や火災保険などの保険料です。
同じ解説では、頭金を貯めていく場合は、諸費用も含めて物件価格の2〜3割の自己資金を貯めるようにしたほうがよいとしています。4,500万円の物件なら900万〜1,350万円にあたります。項目ごとの内容と確認先は住宅ローンの諸費用一覧で整理しています。
頭金0円・10%・20%で、借入額と返済額を比べる
物件価格4,500万円、返済期間35年、金利年1.0%(仮の値)で、頭金の額だけを変えて比べます。諸費用は別に現金で払う前提です。
| 頭金 | 借入額 | 融資率 | 毎月の返済額 | 返済総額 | うち利息 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0円 | 4,500万円 | 100% | 127,029円 | 53,351,716円 | 8,351,716円 |
| 450万円(10%) | 4,050万円 | 90% | 114,326円 | 48,016,530円 | 7,516,530円 |
| 900万円(20%) | 3,600万円 | 80% | 101,623円 | 42,681,328円 | 6,681,328円 |
頭金を450万円増やすごとに、毎月の返済額は約1.3万円、利息の合計は約84万円減ります。頭金は利息を減らす効果がある一方、その分の現金が手元から出ていきます。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 条件 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 利息の合計 |
|---|---|---|---|
| 頭金0円(借入4,500万円) | 127,029円 | 53,351,716円 | 8,351,716円 |
| 頭金450万円(借入4,050万円) | 114,326円 | 48,016,530円 | 7,516,530円 |
| 頭金900万円(借入3,600万円) | 101,623円 | 42,681,328円 | 6,681,328円 |
融資率:9割を超えるかどうかで条件が変わる場合がある
【フラット35】では、融資率を「借入額÷住宅の建設費または購入価額」で計算し、融資率が9割以下か9割超かで借入金利が異なります。融資率が9割を超える場合は、返済の確実性等をより慎重に審査するとされています。借入額は建設費または購入価額以内が上限です。
前の表では、頭金0円なら融資率100%、450万円なら90%で、ちょうど9割の境目になります。境目の近くにいる場合は、頭金を少し増やすことで金利の区分が変わるかどうかを、取扱金融機関の金利情報で確認する価値があります。民間の住宅ローンで融資率による条件の違いがあるかは、金融機関によって異なります。
現金が必要になる時期:契約から入居まで
| 時期 | 主な支払い |
|---|---|
| 売買契約時 | 売買契約書の印紙税(記載金額4,500万円なら軽減後1万円)など |
| ローン契約時 | ローン契約書の印紙税(4,050万円なら2万円)、融資手数料、保証料 |
| 資金の受取り・引渡し時 | 頭金の残り、登録免許税、司法書士報酬、火災保険料、固定資産税の精算 |
| 入居前後 | 引越し代、家具・家電 |
| 入居後 | 不動産取得税(申告や納付の時期は都道府県の案内で確認) |
印紙税の額は国税庁の税額表(令和8年4月1日現在法令等)によるもので、売買契約書の軽減後の税額は令和9年3月31日までに作成する契約書が対象です。支払いの時期と内容は物件や契約によって異なるため、売買契約の前に不動産会社と金融機関に確認し、時期ごとの必要額を一覧にしておきます。
頭金を増やすか、手元に残すかの考え方
頭金を増やすと借入額が減り、毎月の返済額と利息の合計が小さくなります。前の例では、頭金を0円から900万円にすると、35年間の返済総額は約1,067万円減ります。一方で、手元の現金をすべて頭金と諸費用に使うと、入居後の急な出費や収入の変化に対応しにくくなります。
頭金にいくら回すかは、利息を減らす効果と、手元に残すお金の安心のバランスで決まります。住宅ローンは後から繰上返済で元金を減らすこともできますが、一度頭金として払ったお金を後から取り戻すことはできません。生活費の数か月分など、入居後も残しておきたい金額を先に決め、残りを頭金と諸費用に配分すると考えやすくなります。配分を決めたら、頭金の額ごとの返済額を前の表のように並べて確認します。頭金の額による違いは頭金はいくら入れる?、頭金なしの場合は頭金なし(フルローン)で詳しく扱います。
諸費用を借入れに含める場合
手元の現金が足りない場合、諸費用の一部を借入れに含められるかを金融機関に相談することになります。【フラット35】の借入額は建設費または購入価額以内とされており、どの費用まで借入対象になるかは取扱金融機関で確認します。
諸費用を借入れに含めると、その分にも利息がかかります。たとえば4,050万円の借入れに諸費用分を上乗せすれば、融資率も上がり、前の節の9割の境目を超えることがあります。現金で払う場合と借入れに含める場合の両方で、毎月の返済額と総額を計算して比べてください。
どの方法でも、売買契約の前に「現金で払うもの」と「借入れでまかなうもの」を線引きしておくことが大切です。契約後に現金が足りないことが分かると、選べる方法が限られてしまいます。
現金の計画を表にして、借入額をツールで確かめる
物件価格、頭金、諸費用の見積り、引越しなどの費用、入居後も残したい金額を一覧にすると、必要な現金と借入額が決まります。借入額が決まったら金利上昇シミュレーションに借入額・返済期間・金利を入れ、毎月の返済額と、金利が上がった場合の差を確認してください。毎月の返済予算から借入額を考えるなら返済予算からの逆算が使えます。
参照した情報
- 全国銀行協会:住宅ローンの諸費用
- 住宅金融支援機構:【フラット35】融資率とは
- 住宅金融支援機構:【フラット35】ご利用条件
- 国税庁:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
- 国税庁:No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
- 国土交通省:認定長期優良住宅を取得したときに利用できる減税制度
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。