税と控除

住宅ローン控除の省エネ証明:区分ごとの限度額と必要書類

新築の住宅ローン控除は、認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合で控除限度額が大きく違います。区分の基準、必要な証明書、2028年以降の入居の扱いを5000万円の試算とあわせて整理します。

この記事のポイント

  • 2026・2027年入居の新築の控除限度額は、認定住宅31.5万円、ZEH水準24.5万円、省エネ基準適合14万円です。
  • 5000万円・35年・1%の例では、認定住宅と省エネ基準適合住宅の13年間の合計の差は1,906,300円です。
  • 新築の省エネ基準適合住宅は、2028年以降の入居では原則対象外です(建築確認の時期などによる経過措置あり)。
  • 借入額が2,000万円程度なら、どの区分でも残高×0.7%が限度額を下回り、合計額は変わりません。

新築の控除限度額は区分で最大2倍以上の差

新築等の住宅の住宅ローン控除は、省エネ性能の区分で控除限度額が変わります。国税庁 No.1211-1(令和8年4月1日現在法令等)による2026年・2027年入居の控除限度額は、認定住宅31.5万円、ZEH水準省エネ住宅24.5万円、省エネ基準適合住宅14万円で、控除期間はいずれも13年です。省エネ基準を満たさない「その他の住宅」は、2024年以降の入居では原則として対象外です。

計算例として、2026年4月に5000万円を借りて35年・金利1%(月々141,143円)で返済すると、13年間の控除額の合計は次のとおりです。

2026年4月入居・新築・5000万円・35年・金利1%(特例対象個人に当たらない場合)
住宅の区分各年の控除限度額13年間の合計
認定住宅(長期優良・低炭素)31.5万円3,726,300円
ZEH水準省エネ住宅24.5万円3,177,200円
省エネ基準適合住宅14万円1,820,000円
その他の住宅対象外(経過措置を除く)0円

認定住宅と省エネ基準適合住宅の差は、この例で1,906,300円です。

区分を分ける基準:断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級

  • 認定住宅:認定長期優良住宅と認定低炭素住宅。それぞれの法律にもとづき所管行政庁の認定を受けたもの。
  • ZEH水準省エネ住宅:認定住宅以外で、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上と証明されたもの。
  • 省エネ基準適合住宅:上の2つ以外で、断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上と証明されたもの。2026年1月1日以後の居住では、いわゆる気候風土適応住宅も対象になります。
  • その他の住宅:上のいずれにも当たらない住宅。

控除限度額を0.7%で割り戻すと、認定住宅は4,500万円、ZEH水準は3,500万円、省エネ基準適合は2,000万円の年末残高に相当します。国土交通省の長期優良住宅の説明でも、2026年以降の新築の借入限度額を4,500万円(子育て世帯等は5,000万円)としています。借入額がこの水準より小さければ、区分による差は小さくなります。

区分ごとに必要な証明書

確定申告では、共通の書類に加えて区分を示す書類を添付します。

新築等で控除を受ける場合の区分別の書類(国税庁 No.1211-1・国土交通省の説明をもとに整理)
区分主な書類
認定長期優良住宅認定通知書の写しと、市区町村の「住宅用家屋証明書」(またはその写し)か建築士等の「認定長期優良住宅建築証明書」
認定低炭素住宅認定通知書の写しと、「住宅用家屋証明書」(またはその写し)か「認定低炭素住宅建築証明書」
ZEH水準省エネ住宅建築士等の「住宅省エネルギー性能証明書」か「建設住宅性能評価書」の写し
省エネ基準適合住宅同上、または一定の検査済証の写し(2026年1月1日以後の居住)

「建築士等」とは、建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人を指します。2026年4月1日以後の入居では、性能証明書は家屋の取得の日前に調査が終わったものが対象です。国土交通省は、住宅用家屋証明書は制度上再発行できないため、手元にない場合は建築証明書の取得を検討するよう案内しています。共有名義で夫婦それぞれが申告する場合、建築証明書は申告する人数分が必要です。

2028年以降に入居する場合の注意点

新築の省エネ基準適合住宅は、2028年(令和10年)から2030年の入居では控除期間が0年、つまり原則として対象外になります。ただし、令和9年12月31日までに建築確認を受けたもの、または令和10年6月30日までに建築されたものは、控除限度額14万円(借入限度額2,000万円)で10年間の控除が受けられます。国土交通省の説明でも、建築確認が令和10年以降の省エネ基準適合住宅は対象外と整理されています。

また、2028年以降の入居では、土砂災害特別警戒区域などの「災害レッドゾーン」にある新築住宅も対象外になります(建替え・既存住宅・リフォームは対象)。完成や入居が年をまたぐと適用される表が変わるため、契約前に入居予定年と建築確認の時期を確認しましょう。入居時期の影響は入居要件の解説で計算しています。

契約前に確認しておきたい順番

  1. どの区分で建てる・買う予定か:設計図書や販売資料で、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級、認定の予定を確認します。
  2. 誰がどの証明書を出すか:住宅省エネルギー性能証明書、建設住宅性能評価書、認定通知書など、どの書類を誰が用意するかを売主・施工会社と決めておきます。
  3. 建築確認と入居の時期:省エネ基準適合住宅は2028年以降の入居で扱いが変わるため、建築確認日と入居予定年を確認します。
  4. 借入額との関係:控除限度額に届く借入額かどうかで、区分の差が控除額の差になるかが決まります。

書類がそろわないと、確定申告の時点で控除限度額の低い区分として扱われるおそれがあります。引渡しまでに受け取れるかを確認しておきましょう。

ZEH水準の例で、限度額に届く期間を確かめる

区分の差は、毎年の控除額の推移にも表れます。上の5000万円の例では、認定住宅の1年目の残高×0.7%は344,400円で限度額31.5万円を超え、4年目まで315,000円、5年目から310,000円と減っていきます。ZEH水準省エネ住宅では、12年目まで限度額いっぱいの245,000円で、13年目だけ237,200円になります。

このように、借入額が大きいほど限度額に張り付く期間が長く、区分の差がそのまま控除額の差になります。反対に借入額が2,000万円程度なら、どの区分でも残高×0.7%が限度額を下回るため、合計額は変わりません(2000万円・35年・1%ではどの区分も1,516,500円)。省エネ性能を高める費用と控除額の差を比べるときは、自分の借入額で計算することが大切です。

新築・認定住宅・5000万円の年ごとの控除額
  1. 2026年315,000円
  2. 2027年315,000円
  3. 2028年315,000円
  4. 2029年315,000円
  5. 2030年310,000円
  6. 2031年301,300円
  7. 2032年292,400円
  8. 2033年283,400円
  9. 2034年274,300円
  10. 2035年265,200円
  11. 2036年255,900円
  12. 2037年246,600円
  13. 2038年237,200円

2026年4月入居・35年・金利1%・元利均等、特例対象個人に当たらない場合。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
新築・認定住宅・5000万円の年ごとの控除額
年年末残高控除額
2026年49,201,859円315,000円
2027年47,994,630円315,000円
2028年46,775,276円315,000円
2029年45,543,672円315,000円
2030年44,299,697円310,000円
2031年43,043,224円301,300円
2032年41,774,127円292,400円
2033年40,492,280円283,400円
2034年39,197,558円274,300円
2035年37,889,830円265,200円
2036年36,568,964円255,900円
2037年35,234,828円246,600円
2038年33,887,289円237,200円
新築・ZEH水準・5000万円の年ごとの控除額
  1. 2026年245,000円
  2. 2027年245,000円
  3. 2028年245,000円
  4. 2029年245,000円
  5. 2030年245,000円
  6. 2031年245,000円
  7. 2032年245,000円
  8. 2033年245,000円
  9. 2034年245,000円
  10. 2035年245,000円
  11. 2036年245,000円
  12. 2037年245,000円
  13. 2038年237,200円

2026年4月入居・35年・金利1%・元利均等、特例対象個人に当たらない場合。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
新築・ZEH水準・5000万円の年ごとの控除額
年年末残高控除額
2026年49,201,859円245,000円
2027年47,994,630円245,000円
2028年46,775,276円245,000円
2029年45,543,672円245,000円
2030年44,299,697円245,000円
2031年43,043,224円245,000円
2032年41,774,127円245,000円
2033年40,492,280円245,000円
2034年39,197,558円245,000円
2035年37,889,830円245,000円
2036年36,568,964円245,000円
2037年35,234,828円245,000円
2038年33,887,289円237,200円

区分を切り替えて控除額を比べる

住宅ローン控除シミュレーションでは、住宅の区分を「新築・認定住宅」「新築・ZEH水準省エネ住宅」「新築・省エネ基準適合住宅」などから選べます。同じ借入額・入居年で区分だけを切り替えると、13年間の差がすぐに分かります。子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せは特例対象個人の解説、中古住宅の区分は中古住宅の住宅ローン控除を参照してください。

控除額は所得税額(と一定の上限内の住民税額)を超えて戻りません。性能の高い住宅ほど建築費が上がる場合もあるため、返済予算シミュレーションで月々の返済額も合わせて確認しましょう。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。