借り換え

住宅ローンの金利引下げ相談と借り換え:費用込みで比べる

今の金融機関で金利が少し下がる場合と、より低い金利へ借り換える場合を、同じ物差し(諸費用込みの総額)で比較。相談の前にそろえる数字と、借り換え側で確認すべき点も整理します。

この記事のポイント

  • 残高2,200万円・残り22年・1.4%なら、費用なしの0.2%引下げで総額531,808円減
  • 0.5%低い金利への借り換えでも、諸費用80万円なら総額の減少は516,303円とほぼ同じ
  • 月々の差は金利の下がり幅でほぼ決まり、総額の差は費用で大きく変わる
  • 引下げが一定期間だけなら効果は小さく、最初の10年だけなら減少は370,220円

小さな引下げでも費用が少なければ、借り換えと同じくらい効く

住宅ローンの負担を下げたいとき、借り換えのほかに、今の金融機関に金利や条件について相談するという選択肢を考える人もいます。相談に応じてもらえるか、どんな条件や手数料になるかは金融機関や契約によって異なるため、この記事ではその可否には触れず、「仮にこういう条件が示されたら、借り換えとどう比べるか」に絞って計算します。

計算例として、残高2,200万円・残り22年・年1.4%(仮定)のローンで、今の金融機関の金利が0.2%下がり費用がかからない場合、総額は531,808円減ります。一方、年0.9%へ借り換え(金利差0.5%)、諸費用が80万円なら総額の減少は516,303円で、ほぼ同じでした。金利の下がり幅が大きいほうが有利とは限らず、費用を含めた総額で比べることが欠かせません。

条件別の比較表

同じ残高・残り期間のまま、金利と費用だけが変わる場合を並べました(元利均等・毎月返済・金利一定)。今の毎月の返済額は96,873円です。

残高2,200万円・残り22年・年1.4%の場合(金利・費用はすべて仮定)
条件新しい金利費用月々の差総額の差(費用込み)
今の金融機関で0.2%引下げ1.2%0円−2,014円−531,808円
今の金融機関で0.2%引下げ(手数料あり)1.2%5.5万円−2,014円−476,808円
借り換えで0.3%低下1.1%60万円−3,012円−195,045円
借り換えで0.5%低下0.9%60万円−4,986円−716,303円
借り換えで0.5%低下(費用大)0.9%80万円−4,986円−516,303円

月々の差は金利の下がり幅でほぼ決まり、費用の影響を受けません。総額の差は費用によって大きく変わり、0.3%の借り換えで60万円かかる場合は、費用のかからない0.2%の引下げより効果が小さくなっています。

2,200万円・残り22年:1.4%→1.2%(費用0円)
  1. 今の金利1.4%2,557万円
  2. 引下げ後1.2%(費用0円)2,504万円

今の金融機関で金利が0.2%下がり、費用がかからない場合を借り換えシミュレーションで計算したものです。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
2,200万円・残り22年:1.4%→1.2%(費用0円)
毎月の返済額支払総額
今の金利1.4%96,873円25,574,192円
引下げ後1.2%(費用0円)94,859円25,042,384円
2,200万円・残り22年:1.4%→0.9%(諸費用80万円)
  1. 今のローンを継続2,557万円
  2. 借り換え(諸費用込み)2,506万円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
2,200万円・残り22年:1.4%→0.9%(諸費用80万円)
毎月の返済額支払総額
今のローンを継続96,873円25,574,192円
借り換え(諸費用込み)91,887円25,057,889円

引下げが一定期間だけの場合は効果が小さくなる

示された金利の引下げが残りの期間ずっと続くのか、一定期間だけなのかで、効果は大きく変わります。上の例で、0.2%の引下げが最初の10年間だけで、その後は年1.4%に戻ると仮定すると、総額の減少は370,220円でした(10年後に残りの期間で返済額を計算し直す前提で、毎月の返済額は最初の10年が94,859円、その後は95,979円)。引下げが最初の5年間だけなら、減少は211,033円です。

ずっと続く場合の531,808円と比べると、期間が限られるほど効果は小さくなります。借り換え先の金利についても同じで、当初だけ引下げ幅が大きい条件なのか、全期間同じ引下げ幅なのかを確認しないと、比較の前提がずれてしまいます。条件を書き出すときは、「何%下がるか」と「いつまで下がるか」を必ずセットにしてください。

相談の前にそろえておく数字

今の金融機関に相談するにしても、借り換え先を探すにしても、まず次の数字を手元にそろえておくと、話が具体的になります。

  • 現在の残高と残りの返済回数:返済予定表で確認します。
  • 今の適用金利と、その内訳:出典に挙げた金融機関の解説では、適用金利は基準金利から優遇幅を差し引いた金利で、優遇幅は金融機関や取引条件によって異なると説明されています。同じ解説では、優遇幅は契約時に決まり、原則として借入後には変更できないとも説明されています。自分の優遇幅(引下げ幅)がいくらで、いつまで続くかも確認します。内訳の読み方は基準金利と適用金利の違いを参照してください。
  • 毎月の返済額と、契約上の返済額の見直しルール
  • 借り換えの見積り:提示金利、期間、諸費用の内訳。

これらがそろっていれば、示された条件をその場でシミュレーションに入れて比べられます。金利だけでなく、手数料の有無、金利タイプの変更の有無、期間の変更の有無も、条件ごとにメモしておきます。

借り換え側で確認すること

借り換えは新しくローンを組む手続きなので、金利以外の確認事項が増えます。住宅金融支援機構は、借り換えを検討する際は総返済額や毎月の返済額だけでなく、諸費用を含めた総費用を考慮するよう案内しています。全国銀行協会のFP回答では、保証料・登録免許税・司法書士手数料・印紙代などの諸費用が一般的に50万〜70万円程度とされています。

また、借り換えには審査があり、希望どおりの条件にならないこともあります。【フラット35】借換融資のご利用条件では、取扱金融機関または住宅金融支援機構の審査の結果によっては希望に沿えない場合があると明記されています。団体信用生命保険も、前のローンの保障は借り換えで終了し、新しいローンで改めて申し込む必要があります(【フラット35】借換融資の場合)。審査で見られる点は借り換えの条件と審査にまとめています。

返済が負担になっている場合の選択肢

全国銀行協会のFP回答では、住宅ローンの負担を軽くする方法として、借り換え、返済額軽減型の繰上返済、家計の見直しが挙げられています。借り換えは諸費用を十分に考慮すること、繰上返済で返済額を減らすにはまとまった資金が必要なこと、家計の見直しはお金をかけずにできることが、それぞれの特徴として説明されています。

また、諸費用を払うことで貯蓄が大きく減ったり、教育費を取り崩したりするなら、かえって家計のリスクになるとも指摘されています。金利を下げる話と、毎月の返済がすでに苦しいという話は、分けて考えたほうがよい場合があります。返済そのものが難しくなっている場合は返済が苦しいときの相談先も参照してください。

比べるときに混ぜてはいけない条件

示された条件に期間の変更が含まれていると、月々の差に「返済を先に延ばした効果」が混ざります。たとえば金利が下がると同時に期間が延びれば、月々は大きく下がって見えますが、総額は思ったほど減らないか、増えることもあります。まず同じ残り期間で金利と費用だけを比べ、期間の変更は別の比較として扱うと、何が効いているのかがわかります。期間を延ばした場合の計算は返済期間の延長で示しています。

金利タイプが変わる場合(変動から固定など)も、単純な金利差の比較では足りません。将来の金利の動きによって結果が変わるため、いくつかのシナリオで比べる必要があります。

示された条件をツールに入れて比べる

借り換えシミュレーションは、今の金融機関で条件が変わる場合の比較にも使えます。「借り換え後の金利」に示された新しい金利、「借り換え後の期間」に残りの期間、「借り換え諸費用の合計」に手数料など今回払う費用を入れれば、月々と総額の差が表示されます。借り換え先の見積りも同じように入力して、結果を並べてください。比べ方の基本は借り換え比較の手順で解説しています。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。