返済が苦しいとき

住宅ローンの返済が苦しいとき:返済条件の変更・借り換え・相談先

住宅ローンの返済が苦しくなったときに検討する返済期間の延長、借り換え、返済額軽減型の繰上返済を、残高2,500万円の計算例で比較。金融機関や全国銀行協会の相談窓口も紹介します。

この記事のポイント

  • 返済が苦しいと感じたら、延滞が起きる前に返済中の金融機関と全国銀行協会相談室へ相談します。
  • 残高2,500万円・年1.5%で残り25年を30年に延ばすと、毎月13,704円減り総額は1,065,531円増えます。
  • 同じ例で返済額軽減型の繰上返済により毎月1万円以上減らすには約251万円が必要です。
  • 借り換えの諸費用は一般的に50万〜70万円程度とされ、手元資金の減り方も合わせて確認します。

住宅ローンの返済が苦しいなら、まず借入先と相談窓口へ

返済が苦しいと感じたら、延滞が起きる前に、返済中の金融機関へ相談することが最初の一歩です。【フラット35】の返済中の案内には、返済に困っている人向けの返済方法の変更手続が掲載されており、返済についての具体的な相談や申請手続は、返済中の金融機関に問い合わせるよう案内されています。

全国銀行協会は、住宅ローンやカードローンの返済が困難になっている個人向けに、無料のカウンセリングサービスを「全国銀行協会相談室」で実施しています。電話または面談で、専門のカウンセラーや銀行業務に習熟した相談室職員が相談に応じ、希望や必要に応じて銀行の窓口や法テラス(日本司法支援センター)などの機関を紹介するとされています。

相談の前に、返済予定表、直近の収入が分かる書類、毎月の支出の概算を手元にそろえておくと、どの方法が使えそうかを具体的に話し合えます。「いつから、毎月いくら足りないのか」を一言で説明できるようにしておくのがコツです。

返済を軽くする方法を並べてみる

全国銀行協会に掲載されたファイナンシャル・プランナーの回答では、住宅ローンの負担を軽くする方法として、借り換え、返済額軽減型の繰上返済、家計の見直しが挙げられています。それぞれ、必要なお金と効果の出方が違います。

返済を軽くする主な方法と注意点
方法必要なお金注意点
返済期間の延長借入先に確認(条件変更の可否も借入先次第)月々は減るが総額は増える
借り換え諸費用(保証料・登録免許税・司法書士手数料・印紙代など)諸費用で貯蓄が大きく減ると家計のリスクになる
返済額軽減型の繰上返済まとまった資金と手数料効果を出すには一定の金額が必要
家計の見直しなし固定支出の削減が中心で時間がかかる

同じ回答では、借り換えの諸費用は一般的に50万〜70万円程度とされ、借り換えで返済期間を延長できるのは一部の金融機関に限られるとされています。

返済期間を延ばすと、月々と総額はどう変わる?

計算例として、残高2,500万円・残り25年・年1.5%(仮の値)の住宅ローンで、金利はそのままに残りの期間を30年に延ばした場合を試算します。

残高2,500万円・年1.5%、残り25年と30年の比較
項目残り25年残り30年
毎月の返済額99,985円86,281円
これからの返済総額29,994,974円31,060,505円

毎月の返済額は13,704円減りますが、これからの返済総額は1,065,531円増え、完済も5年遅くなります。月々の負担を軽くする効果は大きい一方、その分を将来に先送りしている点を理解したうえで検討します。期間の延長ができるかどうか、どこまで延ばせるかは、借入先の判断と契約の条件によります。考え方は返済期間の延長でも整理しています。

残高2,500万円・年1.5%、残り25年と30年の残高
残高2,500万円・年1.5%、残り25年と30年の残高横軸は経過年数、縦軸は年末のローン残高。残り25年、残り30年に延長。0625万1,250万1,875万2,500万0年10年20年30年
  • 残り25年
  • 残り30年に延長

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
残高2,500万円・年1.5%、残り25年と30年の残高
経過残り25年残り30年に延長
0年後25,000,000円25,000,000円
5年後20,720,053円21,573,361円
10年後16,106,975円17,880,011円
15年後11,134,847円13,899,196円
20年後5,775,725円9,608,537円
25年後0円4,983,915円
30年後完済0円

返済額軽減型の繰上返済で月1万円減らすには

同じ残高2,500万円・残り25年・年1.5%の例で、返済額軽減型の繰上返済をした場合の毎月の返済額を計算すると、100万円で4,000円、200万円で7,999円減ります。毎月1万円以上減らすには約251万円が必要で、そのときの返済額は89,946円(10,039円減)です。

前述のファイナンシャル・プランナーの回答でも、10年前に2,500万円を35年返済・金利2.5%で借りた例で、毎月の返済額を1万円減らすには220万円ほどの繰上返済が必要とされています。本サイトの計算方法で同じ条件を試算すると、10年後の残高は19,921,988円、1万円減らすのに必要な額は約223万円で、ほぼ同じ水準です。返済額軽減型は手数料が比較的低い方法ですが、まとまったお金が必要になります。

残高2,500万円・残り25年・1.5%で200万円繰上返済
  1. 繰上返済なし499万円
  2. 期間短縮型414万円
  3. 返済額軽減型460万円

手数料は0円として計算しています。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
残高2,500万円・残り25年・1.5%で200万円繰上返済
方法利息の合計毎月の返済額返済期間
繰上返済なし4,994,974円99,985円25年
期間短縮型4,135,607円99,985円22年8か月
返済額軽減型4,595,384円91,986円25年

借り換えの効果は、諸費用と並べて判断する

前述の回答では、借り換えの効果の目安として「残高1,000万円以上、残り期間10年以上、金利差1%以上」とよく言われる一方、実際はもっと条件が下がっても効果はあるようだとされています。ただし、借り換えは新たに住宅ローンを組むため諸費用がかかり、それを払って貯蓄が大きく減ったり、教育費を取り崩したりするなら、かえって家計のリスクになるとも指摘されています。

借り換えの効果は、毎月の返済額の差と、諸費用を含めた総額の差の両方で確認します。比べ方は借り換え比較の手順で解説しています。

家計の見直しと、手元資金を残す考え方

前述の回答は、資金が必要ない方法として家計の見直しを挙げ、使途不明金の洗い出しや加入している保険の見直しなど、固定支出の削減が効果的だとしています。返済額を変える手続きと並行して、毎月の支出を確かめ直すことは、どの方法を選ぶ場合にも役立ちます。

繰上返済や借り換えの諸費用で手元資金を使い切ってしまうと、病気や収入減など次の出来事に対応できなくなります。返済を軽くする方法を選ぶときは、「手元にいくら残るか」も合わせて確認してください。

どの方法も、効果の大きさと引き換えに何かを手放す選択です。期間の延長は総額、借り換えは諸費用、繰上返済は手元資金を使います。自分の家計にとってどれが一番手放しやすいかという視点で比べると、選びやすくなります。複数の方法を組み合わせることもできるので、金融機関との相談では一つに決めつけずに選択肢を並べてもらうとよいでしょう。

返済が遅れそうなときは、遅れる前に連絡する

苦しい状態が続いて引落しに間に合わない可能性が出てきたら、引落日の前に返済中の金融機関へ連絡します。返済が遅れた場合にどのような扱いになるかは、金銭消費貸借契約書の条項で確認できます。【フラット35】の案内には、返済の継続が困難となり、やむなく返済継続を断念せざるを得ない場合の手続きも掲載されています。

連絡を先延ばしにしても状況はよくならず、選べる方法が減っていくだけです。延滞を避けるために確認したいことは住宅ローンの延滞が心配なときにまとめています。

数字を持って相談する

相談の前に、現在の残高、残りの返済期間、金利、毎月の返済額を返済予定表で確認し、金利上昇シミュレーションで今の条件の返済額を確かめておくと、話が具体的になります。家計で無理なく返せる毎月の金額から逆算するには、返済予算からの逆算に返済予算・返済期間・金利を入れてください。返済額軽減型の繰上返済の効果は繰上返済の比較で計算できます。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。