借り換え

借り換えの目安「金利差1%」は本当?残高・期間・費用で検証

借り換えの目安とされる「残高1,000万円以上・残り10年以上・金利差1%以上」を、諸費用込みの総額で検証。目安を満たしても総額が増える例、満たさなくても減る例を表で示します。

この記事のポイント

  • 「残高1,000万円以上・残り10年以上・金利差1%以上」は目安の一つで、諸費用込みで結果は入れ替わる
  • 諸費用60万円なら、残高1,000万円・残り10年・金利差1%でも総額は79,192円増えた
  • 残高2,000万円・残り20年なら、金利差0.3%でも総額は56,299円減った
  • 月々の差だけで判断せず、減る利息が諸費用をどれだけ上回るかを計算する

「金利差1%」は目安の一つ:諸費用込みで結果は入れ替わる

借り換えの効果の目安として、「ローン残高が1,000万円以上、残りの返済期間が10年以上、借り換え先との金利差が1%以上」という考え方が知られています。全国銀行協会のFP回答でもこの目安が紹介されたうえで、実際にはもっと条件が下がっても効果はあるようだと補足されています。

本サイトの計算で確かめると、諸費用を60万円(仮定)とした場合、目安ちょうどの「残高1,000万円・残り10年・金利差1%」では、借り換え後の総額(諸費用込み)が今のローンより79,192円増えました。一方、目安を満たさない「残高2,000万円・残り20年・金利差0.3%」では、総額が56,299円減りました。目安は三つの条件の一つひとつを満たすかではなく、残高・期間・金利差の組み合わせと諸費用の大きさで結果が決まる、というのがこの記事の結論です。

検証表:残高・残り期間・金利差の組み合わせ

現在の金利を年1.5%(仮定)とし、借り換え後は同じ残り期間で金利だけが下がると仮定しました。諸費用60万円は借り換え時に別途支払う前提で、金額はマイナスなら総額が減る(借り換えのほうが少ない)ことを示します。

諸費用60万円を含めた総額の差(借り換え後−現在)
残高・残り期間金利差0.3%金利差0.5%金利差1.0%
1,000万円・10年+442,013円+337,513円+79,192円
1,000万円・20年+271,846円+56,384円−470,652円
2,000万円・10年+284,014円+75,020円−441,631円
2,000万円・20年−56,299円−487,212円−1,541,308円
3,000万円・10年+126,026円−187,469円−962,446円
3,000万円・20年−384,482円−1,030,874円−2,612,007円

残高が大きく残り期間が長いほど、小さな金利差でも総額が減りやすくなります。反対に、残高1,000万円・残り10年では金利差1%でも、60万円の諸費用を取り戻せませんでした。

1,000万円・残り10年・1.5%→0.5%(諸費用60万円)
  1. 今のローンを継続1,077万円
  2. 借り換え(諸費用込み)1,085万円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
1,000万円・残り10年・1.5%→0.5%(諸費用60万円)
毎月の返済額支払総額
今のローンを継続89,792円10,774,912円
借り換え(諸費用込み)85,452円10,854,104円
2,000万円・残り20年・1.5%→1.2%(諸費用60万円)
  1. 今のローンを継続2,316万円
  2. 借り換え(諸費用込み)2,311万円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
2,000万円・残り20年・1.5%→1.2%(諸費用60万円)
毎月の返済額支払総額
今のローンを継続96,510円23,162,005円
借り換え(諸費用込み)93,775円23,105,706円

三つの条件は何を表しているのか

借り換えで減る利息は、おおまかに「残高×金利差×残りの期間」に比例します(実際には残高が毎月減るので、この掛け算よりは小さくなります)。三つの条件は、この掛け算がある程度の大きさになるかどうかを、それぞれの要素で大まかに確かめるものと考えられます。

一方、諸費用は残高や期間に比例しない部分も含むため、減る利息が小さいと費用が上回ってしまいます。上の表の「残高1,000万円・残り10年」では、金利差1%で減る利息は520,808円で、60万円の諸費用より少なかったため総額が増えました。「2,000万円・20年・0.3%」では減る利息が656,299円で、諸費用を上回りました。

つまり、目安の数字を一つずつ満たすかどうかより、「減る利息が諸費用をどれだけ上回るか」を具体的に計算することが大切です。

全国銀行協会のFP回答には、残り期間20年で毎月の返済が1万円下がれば総額240万円の減額になり、諸費用を差し引いても効果があるという説明もあります。残高と残り期間を変えずに借り換えるなら、総返済額の差は「月々の差×残りの回数」にほぼ等しくなるので、この考え方でも大まかな確認ができます。ただし、借り換えと同時に期間を延ばすと月々の差には返済の先送りが混ざるため、この掛け算は使えません。

諸費用の大きさで結論が変わる

全国銀行協会のFP回答では、借り換えの諸費用として保証料・登録免許税・司法書士手数料・印紙代などが挙げられ、一般的な費用額は50万〜70万円程度とされています。実際の金額は借入額や金融機関、保証料の扱いなどで変わるため、見積りを取って確認する必要があります。

諸費用が変わると結果も動きます。残高1,000万円・残り10年・金利差1%の例で、諸費用を90万円とすると総額は379,192円増えます。逆に費用が小さければ、同じ条件でも総額が減る可能性があります。住宅金融支援機構も、借り換えを検討する際は総返済額や毎月の返済額だけでなく、諸費用を含めた総費用を考慮するよう案内しています。費用の内訳は借り換え諸費用の内訳で整理しています。

目安を下回る条件でも検討の余地はあるか

目安を下回る条件として、残高800万円・残り8年・金利が年1.8%から1.0%に下がる(差0.8%)場合を、諸費用30万円で計算すると、総額は31,794円増えました。毎月の返済額は2,794円下がりますが、残り期間が短いため、費用を取り戻すまでには至りません。

一方、上の表のように残高2,000万円・残り20年なら、金利差0.3%でも総額が減りました。条件が目安より小さいからといって最初から検討を外す必要はなく、逆に目安を満たしているから安心ということでもありません。数字を当てはめて計算すれば、どちらに当たるかはすぐにわかります。

もう一つ注意したいのは、この表が「借り換え後の金利差が残りの期間ずっと続く」前提だという点です。今のローンも借り換え先も変動金利なら、将来の金利の動きによって差が縮んだり広がったりします。固定金利へ借り換える場合は、比べる相手が「今の変動金利が今後どうなるか」になるため、別の比べ方が必要です。その考え方は変動から固定への借り換えで計算しています。

月々の差だけで判断しない

表の「残高1,000万円・残り10年・金利差1%」では、毎月の返済額は4,340円下がります。月々だけを見れば借り換えの効果があるように見えますが、60万円の諸費用を含めた総額では増えています。月々の減少と総額の増減は、別々に確認する必要があります。

また、借り換えと同時に返済期間を延ばすと、毎月の返済額はさらに下がりますが、それは金利が下がった効果ではなく返済を先に延ばした効果です。期間が異なる比較では、まず期間をそろえて金利と費用の効果を確かめ、期間の変更は別の比較として扱うのが基本です。

自分の残高・期間・費用で目安を確かめる

借り換えシミュレーションに、返済予定表の現在の残高・残りの返済期間・適用金利、借り換え先の提示金利と期間、見積書の諸費用の合計を入力してください。月々の差と、諸費用を含めた総額の差が別々に表示されます。残高の大きさ別の詳しい計算例は、残高1,000万円・2,000万円・3,000万円の各ガイドにまとめています。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。