この記事のポイント
- 固定期間選択型は、固定期間が終わるとその時点の金利水準で金利タイプを選び直します。
- 3,500万円・35年・当初10年1.6%の例では、11年目から2.6%になると毎月13,189円増えます。
- 当初期間優遇型では、市場の金利が変わらなくても優遇幅の縮小で返済額が上がることがあります。
- 固定期間中に繰上返済で残高を減らしておくと、終了後の金利上昇の影響が小さくなります。
固定期間が終わると、その時点の金利で選び直す
全国銀行協会の解説では、固定金利期間選択型は、最初の契約時に2年、3年、5年、10年などの期間を選んで金利を固定するタイプで、固定期間が終わると、その時点の金利水準で変動金利型にするか、再び固定期間を選ぶかを選べると説明されています。固定期間中は返済額が変わらず、変動金利型のような未払利息のリスクもありません。
その一方で、終了後の返済額は借りた時点では分かりません。計算例(3,500万円・35年・当初10年固定1.6%)では、11年目からの金利が2.6%になると毎月の返済額は108,888円から122,077円へ、13,189円増えます。数字は説明用の仮定で、予測ではありません。
固定期間選択型の特徴を整理する
全国銀行協会の説明をもとに、主な特徴を整理します。
- 固定期間中は金利と返済額が変わらないため、その間の家計の計画が立てやすい
- 固定期間が終わると、その時点の金利で金利タイプを選び直すため、その後の返済額は借入時には分からない
- 返済開始後の金利の動きによって、将来の返済額が変わる可能性がある
三菱UFJ銀行の解説では、固定期間終了後は変動金利または固定金利を選択でき、変動金利の基準金利は日本銀行の政策金利、固定金利の基準金利は長期金利などの影響を受けるとされています。固定期間が終わる時期の金利動向によって、選べる金利の水準が変わるということです。
計算例:10年固定が終わったあとの返済額
計算例として、3,500万円を35年(420回)で借り、当初10年は固定金利1.6%とします。10年間(120回)返済したあとの残高は26,908,713円で、この間に払う利息は4,975,273円です。11年目以降の残り25年(300回)に適用される金利を変えて比べました。
| 11年目以降の金利 | 毎月の返済額 | 当初との差 | 35年間の総返済額 |
|---|---|---|---|
| 1.6%(同じ) | 108,887円 | -1円 | 45,732,324円 |
| 2.1% | 115,369円 | +6,481円 | 47,676,809円 |
| 2.6% | 122,077円 | +13,189円 | 49,689,294円 |
| 3.1% | 129,009円 | +20,121円 | 51,768,637円 |
金利が同じでも1円の差が出るのは、残高から返済額を計算し直す際の1円単位の切上げによるものです。11年目以降が3.1%なら、毎月2万円、年間241,452円の増加になります。
3,500万円・35年を1.6%で10年返済した後の残高26,908,713円から計算。表の総返済額と利息は11年目以降の25年分です。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 条件 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 利息の合計 |
|---|---|---|---|
| 11年目以降1.6% | 108,887円 | 32,665,764円 | 5,757,051円 |
| 11年目以降2.1% | 115,369円 | 34,610,249円 | 7,701,536円 |
| 11年目以降2.6% | 122,077円 | 36,622,734円 | 9,714,021円 |
| 11年目以降3.1% | 129,009円 | 38,702,077円 | 11,793,364円 |
金利が変わらなくても、優遇幅の縮小で上がることがある
三菱UFJ銀行の解説によると、当初の一定期間に大きな優遇幅が適用される「当初期間優遇型」は、多くの場合、借入当初に固定金利を選んだときに適用され、固定期間終了後は優遇幅が縮小します。そのため、借入時に固定期間終了後の優遇内容も確認しておくよう勧めています。
仮に基準金利が3.6%のまま変わらず、当初10年は2.0ポイント引き下げて1.6%、11年目からは1.4ポイントの引下げになるとすると、適用金利は2.2%です。上の例に当てはめると、毎月の返済額は116,692円となり、7,804円増えます。市場の金利が全く動かなくても、契約の仕組みだけで返済額が上がるということです。優遇幅の仕組みは当初引下げと全期間引下げの違いで詳しく比べています。
固定期間の終了前に確認しておくこと
終了が近づいたら、金融機関からの案内を待つだけでなく、次の点を自分で確認しておくと選択を急がずに済みます。
- 固定期間が終わる日と、次の金利タイプを選ぶ手続きの期限
- 手続きをしなかった場合にどの金利タイプになるか
- 終了後に適用される優遇幅(借入時の書面に記載があるか)
- 選べる固定期間の種類と、それぞれの金利
- 金利タイプの変更に手数料がかかるか
これらの取扱いは金融機関や契約によって異なります。不明な点は契約書の該当箇所を確認したうえで、借入先に問い合わせてください。変動金利を選び直す場合は、日銀の利上げと変動金利の関係も参考になります。
固定期間の長さは何と引き換えになるか
固定期間を長くすれば返済額が決まっている期間は長くなります。選べる期間ごとの金利は、金融機関の案内で確認してください。短い固定期間は当初の返済額が小さい代わりに、早い時期に金利を選び直す時点が来ます。どちらが有利かは、終了時の金利次第で事前には分かりません。
判断の材料として、固定期間中に残高がどこまで減るかを確かめておくと役立ちます。上の例では10年で約809万円の元金が減り、終了時の残高は約2,691万円です。終了後の金利上昇の影響は、この残高に対してかかります。年ごとの残高は返済表の読み方を参考に、返済予定表で確認してください。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 経過 | 1.6% |
|---|---|
| 0年後 | 35,000,000円 |
| 5年後 | 31,115,990円 |
| 10年後 | 26,908,713円 |
| 15年後 | 22,351,266円 |
| 20年後 | 17,414,506円 |
| 25年後 | 12,066,866円 |
| 30年後 | 6,274,141円 |
| 35年後 | 0円 |
固定期間中に残高を減らしておくと、終了後の影響が小さくなる
終了後の金利は自分では決められませんが、終了時の残高は固定期間中の行動で変えられます。上の例で、6年目の初め(60回返済後)に200万円を返済額軽減型で繰上返済したとすると、その後の毎月の返済額は101,889円になり、10年後の残高は25,179,154円と、繰上返済しない場合より1,729,559円少なくなります。
11年目以降の金利が2.6%になった場合の返済額は114,231円で、繰上返済しない場合の122,077円より7,846円小さくなります。手数料は入れていない試算です。繰上返済に回したお金は手元から減るため、教育費や予備の資金と相談しながら考えてください。期間短縮型との違いは繰り上げ返済シミュレーションで比べられます。
終了後の返済額を自分で試算する
本サイトの計算ツールは固定期間選択型の切替えを1回で再現する機能を持ちませんが、終了時点の数字を使えば試算できます。金利上昇シミュレーションに、固定期間終了時の残高(返済予定表の該当回の残高)、その時点の残り期間、固定期間中の金利を「現在の金利」、終了後に想定する金利を「比べたい金利」として入れてください。
終了後に変動金利を選んだ場合に、金利が段階的に上がるとどうなるかは、変動金利と固定金利の比較に終了時の残高と残り期間を入れて確かめられます。どちらも将来の金利を予測するものではなく、条件を変えて負担の幅を見るための計算です。
参照した情報
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。