税と控除

住宅ローン控除の入居要件:取得から6か月以内と年末まで住むこと

住宅ローン控除は、取得等の日から6か月以内に住み始め、控除を受ける年の12月31日まで住み続けることが要件です。入居が年をまたぐと適用される限度額が変わる例や、転勤の場合の扱いを解説します。

この記事のポイント

  • 取得等の日から6か月以内に住み始め、控除を受ける年の12月31日まで住み続けることが要件です。
  • 控除期間と控除限度額は、取得した年ではなく住み始めた年で決まります。
  • 3000万円の省エネ基準適合住宅は、2027年12月入居なら1,820,000円、2028年1月入居では経過措置でも1,400,000円です。
  • 同じ年の中なら入居月による差はわずかで、転勤で再適用を受けても控除期間は延びません。

6か月以内に住み始め、毎年12月31日まで住み続ける

国税庁 No.1211-1・No.1211-3(令和8年4月1日現在法令等)では、住宅ローン控除の共通の要件として、次の2つを挙げています。

  • 新築等の日(中古住宅は取得の日)から6か月以内に、自分の住まいとして使い始めていること
  • 控除を受ける年の12月31日まで、引き続き住んでいること(亡くなった年はその日まで)

国土交通省の説明では「住宅の引き渡しまたは工事完了から6ヶ月以内に居住」と表現されています。計算例として、3000万円・35年・金利1%で新築の省エネ基準適合住宅に入居する場合、2027年12月の入居なら13年間・限度額14万円で合計1,820,000円の控除ですが、入居が2028年1月にずれ込むと、建築確認などの経過措置に当たれば10年間・合計1,400,000円、当たらなければ控除の対象外になります。

入居した年の表がそのまま13年間使われる

控除期間と控除限度額は、住宅を取得した年ではなく、住み始めた年(居住年)で決まります。新築の省エネ基準適合住宅を例に、入居年による違いをまとめました。

新築・省エネ基準適合住宅・3000万円・35年・金利1%(特例対象個人に当たらない場合)
入居した年控除期間・限度額控除額の合計
2027年12月13年・14万円1,820,000円
2028年1月(令和9年末までの建築確認などに当たる)10年・14万円1,400,000円
2028年1月(上記に当たらない)対象外0円

注文住宅で工事が遅れたり、引渡しの時期を調整したりすると、入居が年をまたぐことがあります。とくに制度が切り替わる年の前後では、入居日がわずかに違うだけで控除額が大きく変わります。取得した年と居住を開始した年が異なる場合の扱いは国税庁のQ&Aにも項目があるので、心配なときは税務署に確認しましょう。

2027年12月入居の年ごとの控除額
  1. 2027年140,000円
  2. 2028年140,000円
  3. 2029年140,000円
  4. 2030年140,000円
  5. 2031年140,000円
  6. 2032年140,000円
  7. 2033年140,000円
  8. 2034年140,000円
  9. 2035年140,000円
  10. 2036年140,000円
  11. 2037年140,000円
  12. 2038年140,000円
  13. 2039年140,000円

新築・省エネ基準適合住宅・3000万円・35年・金利1%、特例対象個人に当たらない場合。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
2027年12月入居の年ごとの控除額
年年末残高控除額
2027年30,000,000円140,000円
2028年29,280,468円140,000円
2029年28,553,710円140,000円
2030年27,819,651円140,000円
2031年27,078,217円140,000円
2032年26,329,333円140,000円
2033年25,572,928円140,000円
2034年24,808,925円140,000円
2035年24,037,245円140,000円
2036年23,257,815円140,000円
2037年22,470,554円140,000円
2038年21,675,384円140,000円
2039年20,872,226円140,000円
2028年1月入居(経過措置に当たる場合)の控除額
  1. 2028年140,000円
  2. 2029年140,000円
  3. 2030年140,000円
  4. 2031年140,000円
  5. 2032年140,000円
  6. 2033年140,000円
  7. 2034年140,000円
  8. 2035年140,000円
  9. 2036年140,000円
  10. 2037年140,000円

令和9年末までに建築確認を受けたものなどに当たる場合。当たらなければ控除の対象外です。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
2028年1月入居(経過措置に当たる場合)の控除額
年年末残高控除額
2028年29,340,704円140,000円
2029年28,614,551円140,000円
2030年27,881,103円140,000円
2031年27,140,287円140,000円
2032年26,392,026円140,000円
2033年25,636,251円140,000円
2034年24,872,884円140,000円
2035年24,101,847円140,000円
2036年23,323,066円140,000円
2037年22,536,460円140,000円

同じ年なら、入居月による差はわずか

一方、同じ年の中で入居月が変わっても、控除額への影響は大きくありません。上の3000万円の例で2026年に入居した場合、1年目の年末残高は1月入居で29,340,704円、6月入居で29,641,134円、12月入居で30,000,000円(翌月から返済する前提のため年内の返済はなし)ですが、いずれも残高×0.7%が限度額14万円を上回るため、控除額は140,000円で同じです。

限度額に届かない借入額や区分では、入居が遅いほど1年目の年末残高が大きく、控除額がわずかに大きくなります。初年度の手続きや入居月の影響は初年度の確定申告でも計算しています。年末に入居した場合も、その年が1年目として数えられます。

転勤で住めないときの扱い(単身赴任・家族ごとの転居)

転勤などで要件を満たせない場合の扱いは、国税庁 No.1234 に定められています。

  • 単身赴任の場合:転勤などやむを得ない事情で家族と別に暮らす場合でも、取得等の日から6か月以内に配偶者や扶養親族など生計を一にする親族が入居し、その後も住み続けていて、事情が解消したら本人も一緒に住むと認められるときは、本人が住んでいるものとして控除を受けられます。
  • 控除を受けていた人が家族ごと転居した場合:住まなくなった年以降は控除を受けられませんが、転任の命令などやむを得ない事由があり、住まなくなる日までに届出書などを税務署に出しておけば、再び住み始めた年(その年に賃貸していた場合は翌年)以後、残りの控除期間について再適用を受けられます。
  • 入居した年のうちに家族ごと転居した場合:当初6か月以内に住み始めていたことなど一定の要件を満たせば、再び住み始めた年(賃貸していた場合は翌年)以後、残りの期間について控除を受けられます。

どの場合も控除期間は延長されません。家を貸す場合の考え方は転勤で家を貸すときで説明しています。

中古住宅の取得日と、入居前のリフォーム

6か月の起算日は、新築等なら新築等の日、中古住宅なら取得の日です。国土交通省は、これを「住宅の引き渡しまたは工事完了から6ヶ月以内」と表現しています。中古住宅を買ってすぐにリフォームしてから住む場合は、工事期間が長引くと6か月を超えるおそれがあります。

居住開始前に住宅の増改築等をした場合や、新たに取得する中古住宅に増改築を行う場合の扱いは、国税庁のQ&Aにも項目があります。リフォームの内容によって控除の対象や手続きが変わる場合があるため、工事の計画を立てる段階で税務署に確認しておきましょう。

そのほか、居住に関して確認されること

  • 主として住む住宅:2つ以上の住宅を持っている場合は、主として住まいにしている住宅であることが必要です。
  • 床面積の2分の1以上を自分の住まいに使う:店舗併用住宅などでは、建物全体の床面積の2分の1以上が自分の住まいであることが要件です。
  • 年末時点の状況:単身赴任の取扱いで控除を受けている人でも、その年の12月31日の時点で家族とともにその家に住まなくなっている場合は、その期間について控除を受けられません。

国土交通省は、2028年以降の入居では、災害レッドゾーン(土砂災害特別警戒区域など)にある新築住宅が適用対象外になるとも案内しています(建替え・既存住宅・リフォームは対象)。入居時期と立地の両方を、契約前に確認しておきましょう。

入居時期を決める前に確認したいこと

  1. 引渡し予定日と入居予定日:6か月以内に住めるか、年をまたがないかを確認します。
  2. 建築確認の時期:新築の省エネ基準適合住宅は、2028年以降の入居で建築確認の時期が控除の可否を分けます。
  3. 入居日の記録:引越しの日付など、いつから住んでいるかが分かる記録を残しておきます。
  4. 家族の状況:単身赴任の予定がある場合は、家族が6か月以内に入居できるかを確認します。

入居要件のほか、床面積・所得・借入れの要件もそろって初めて控除を受けられます。要件の全体像は住宅ローン控除の計算方法も参考にしてください。

入居年と月を変えて試算する

住宅ローン控除シミュレーションでは、「入居した年」と「借入れ・入居の月」を選ぶと、その年の制度にもとづく控除期間と限度額で計算します。2027年と2028年のように入居年を切り替えると、年をまたいだ場合の差がすぐに分かります。新築の省エネ基準適合住宅は、経過措置に当たる場合の区分も選べます。

入居時期がずれた場合の返済への影響は、金利上昇シミュレーションでも確認できます。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。