税と控除

住宅ローン控除の対象になる借入れ:10年以上・借入先の条件

住宅ローン控除の対象は、住宅の取得等に直接必要で、返済期間10年以上、金融機関など一定の借入先からの借入れです。親族からの借入れや低金利の社内融資が対象外になる理由と、10年の境目を計算します。

この記事のポイント

  • 対象は住宅の取得等に直接必要で、償還期間10年以上、金融機関など一定の借入先からの借入れです。
  • 償還期間は、借金を負っている期間ではなく、最初の返済から返済が終わるまでの期間で数えます。
  • 親族や知人からの借入金はすべて対象外で、勤務先からの無利子や0.2%未満の借入金も対象外です。
  • 1500万円・金利1%では120回返済と119回返済の月々の差はわずかで、返済額では10年の境目を見分けられません。

対象になる借入れの3つの条件

国税庁 No.1225(令和8年4月1日現在法令等)によると、住宅ローン控除の対象になる借入金や債務は、次のすべてを満たすものです。

  1. 目的:住宅の新築・取得・増改築等のためで、そのために直接必要な借入金等であること(住宅とともに取得する敷地の借入金等を含む)。
  2. 償還期間:10年以上の割賦償還(または割賦払)の方法で返済するものであること。
  3. 借入先:金融機関、住宅金融支援機構、勤務先など、一定の者からの借入金等であること。

10年の境目は、月々の返済額では見分けられません。1500万円を金利1%で借りる計算例では、120回(10年)返済なら月々131,407円、119回なら132,457円とほとんど変わりませんが、償還期間が10年に満たなければ控除の対象になりません。償還期間は最初の返済から返済が終わるまでの期間で数えるため(次の章)、10年前後の返済期間にするときは、初回と最終回の返済日を返済予定表で確かめ、借入先や税務署に確認しておくと確実です。仮に要件を満たすとして、120回返済で2026年4月に新築の省エネ基準適合住宅に入居した場合の控除額は、1年目98,300円、合計515,900円です。

1500万円・金利1%の毎月の返済額(120回と119回)
  1. 120回(10年)131,407円
  2. 119回132,457円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
1500万円・金利1%の毎月の返済額(120回と119回)
条件毎月の返済額総返済額利息の合計
120回(10年)131,407円15,768,675円768,675円
119回132,457円15,762,217円762,217円

「償還期間10年以上」は最初の返済から最後の返済まで

償還期間10年以上とは、借金を負っている期間ではなく、最初の返済の時から返済が終わる時までの期間を指します。割賦償還とは、返済日が月や年など1年以下の単位でおおむね規則的に来て、それぞれの返済額が当初から具体的に決まっている返済方法です。

注文住宅などで、10年未満の借入金(いわゆるつなぎ融資)を受けて、あとから償還期間10年以上の住宅ローンに借り換えた場合は、国税庁 No.1233 の借換えの扱いにより、一定の要件の下で借換え後のローンが控除の対象になります。つなぎ融資の仕組みはつなぎ融資とは、借換え後の残高の計算は借り換え後の住宅ローン控除で説明しています。

上の1500万円・10年返済の例では、返済が進むと残高が速く減るため、控除額は2年目88,200円、5年目57,300円、10年目3,600円と年々小さくなり、13年の控除期間が終わる前に返済が終わります。返済期間の長さは控除額の推移にも影響します。

1500万円・10年返済の年ごとの控除額
  1. 2026年98,300円
  2. 2027年88,200円
  3. 2028年78,000円
  4. 2029年67,700円
  5. 2030年57,300円
  6. 2031年46,700円
  7. 2032年36,100円
  8. 2033年25,400円
  9. 2034年14,600円
  10. 2035年3,600円

2026年4月入居・新築の省エネ基準適合住宅・金利1%。償還期間の要件を満たすと仮定した計算です。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
1500万円・10年返済の年ごとの控除額
年年末残高控除額
2026年14,045,961円98,300円
2027年12,602,929円88,200円
2028年11,145,399円78,000円
2029年9,673,228円67,700円
2030年8,186,269円57,300円
2031年6,684,371円46,700円
2032年5,167,384円36,100円
2033年3,635,158円25,400円
2034年2,087,540円14,600円
2035年524,373円3,600円

対象になる借入先・ならない借入先

借入先・債務の相手方と控除の対象(国税庁 No.1225・No.1211-1 をもとに整理)
借入先・相手方扱い
銀行・信用金庫・労働金庫・農協などの金融機関、生命保険会社など対象
住宅金融支援機構、地方公共団体、共済組合など対象
住宅の長期貸付けを行う一定の貸金業者対象
勤務先(使用者)からの借入金対象。ただし無利子や0.2%未満の利率は対象外
工事を請け負った建設業者・物件を売った宅地建物取引業者からの借入金対象
都市再生機構・地方住宅供給公社などに対する債務対象
親族や知人からの借入金すべて対象外

たとえば社内融資の利率が0.1%なら対象外、0.5%なら利率の面では対象になりえます(ほかの要件も満たす場合)。会社から利子の補助があるときは、補助を差し引いた実際の負担が0.2%未満かどうかで判定されます。勤務先からの借入れは、使用人としての地位にもとづく無利子または0.2%未満の利率の借入金、利子補給を受けて実際の負担が0.2%未満になる借入金、時価の2分の1未満で勤務先から取得した住宅の借入金が対象外とされています。親から借りて住宅を買う場合も控除の対象にはならないため、資金援助の受け方は親からの援助の解説も参考にしてください。

土地の借入金が対象になる場合

住宅と一緒に敷地を取得するための借入金も対象になりますが、その年の12月31日に建物についての対象の借入金がなければ、土地の借入金だけがあってもなかったものとみなされます。土地を先に買って家を建てる場合は、次のような条件ごとに扱いが分かれます。

  • 住宅の新築の日前2年以内に取得した敷地の借入金で、新築住宅に抵当権が設定されるなど一定の要件を満たすもの
  • 宅地の分譲契約で、3か月以内に建築請負契約が成立することが条件になっている場合の借入金
  • 地方公共団体などから一定期間内に住宅を建てる条件付きで取得した敷地の借入金
  • 住宅金融支援機構などから、新築工事の着工後に受け取った借入金

どれに当たるかで添付書類も変わります。たとえば新築の日前2年以内に買った敷地の借入金なら、家屋に一定の抵当権が設定されていることを登記事項証明書などで示す必要があり、建築条件付きの分譲なら、その条件が書かれた契約書の写しなどが必要です。土地から購入する場合は、借入先と税務署に早めに確認しておきましょう。

控除の計算に使うのは年末残高。取得対価が上限

控除の対象になる借入金等からは、利息に対応するものが除かれます。控除額は「年末残高と取得対価の少ない方×0.7%」で計算します。敷地の取得のための借入金も対象にする場合は、土地の登記事項証明書や売買契約書の写しなどで、敷地の取得年月日と取得対価も示します。

同じ借入先でも、住宅の取得とは関係のない目的に使った部分は「住宅の取得等のために直接必要な借入金」に当たりません。複数の目的で1つのローンを組む場合や、増改築等の資金をあわせて借りる場合は、どの部分が控除の対象になるかを借入先と税務署に確認しておきましょう。増改築等の借入金は、対象になる借入先の範囲も新築・取得の場合と一部異なります。

借入れの条件を変えるときの注意点

借入れの条件は、契約後に変わることもあります。借り換えた場合は、新しいローンが当初のローンの返済のためであることが明らかで、10年以上の償還期間などの要件を満たせば控除が続きます。ただし、借換え直前の残高より多く借りた場合は対象額が按分され、控除期間も延びません(国税庁 No.1233)。

繰上返済で返済期間を短くする場合や、返済条件を変更する場合に控除の要件にどう影響するかは、契約内容によって異なります。手続きの前に、借入先と税務署に確認してください。繰上返済と控除の関係は繰上返済と住宅ローン控除で整理しています。

返済期間を変えて控除額を試算する

住宅ローン控除シミュレーションでは、返済期間が10年未満の場合は控除の対象外として表示します(10年ちょうどの返済期間が要件を満たすかは返済日の定め方によるため、契約内容で確認してください)。返済期間を10年、15年、35年と変えて入力すると、年末残高の減り方の違いが控除額の推移にどう表れるかを確認できます。

返済期間による月々の返済額や総返済額の違いは、返済予算シミュレーションや金利上昇シミュレーションでも比べられます。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。