契約との違い

未払利息とは?変動金利で返済額が利息を下回る仕組み

未払利息は、変動金利・元利均等返済で返済額が据え置かれている間に金利が大きく上がり、利息が返済額を上回ったときに生じます。発生する金利の目安と、3,500万円の計算例で残高や総額への影響を確認します。

この記事のポイント

  • 未払利息は、利息が返済額を上回ったときに払いきれなかった利息で、その間は元金が減りません。
  • 未払利息が出始める金利の目安は「毎月の返済額×12÷ローン残高」で求められます。
  • 3,500万円・35年・0.6%の例では、借入直後は適用金利が約3.168%を超えると利息が返済額を上回ります。
  • 毎年1ポイント上がる極端な例では、5年ルールありの総額が再計算する場合より7,707,799円多くなりました。

未払利息とは:返済額で払いきれなかった利息

全国銀行協会の解説によると、未払利息は変動金利型の住宅ローンで発生する可能性があるもので、急激な金利上昇が起きて、毎月支払うべき利息の金額が返済額よりも多くなったときに生じます。返済額を上回った部分の利息が、一般に「未払利息」と呼ばれています。

未払利息が発生している間は、返済額がすべて利息に充てられ、元金に回る額はゼロになります。ローン残高が減らず、利息だけを払う状態が続くうえ、払えなかった利息が積み上がっていきます。このページの計算例(3,500万円・35年・当初0.6%)では、適用金利がおよそ3.2%を超えると、最初の返済額では利息を払いきれなくなる計算です。

なぜ起きる?金利と返済額の見直し時期のずれ

同じ解説では、変動金利の金利は通常半年ごとに見直される一方、元利均等返済の返済額は通常5年ごとにしか見直されないと説明しています。返済額が変わらない5年の間に金利が急に上がると、利息が返済額を上回る可能性があるということです。

さらに、5年ごとの見直しのときには一般に「125%ルール」があり、返済額の増加はそれまでの25%増しが上限になります。解説の例では、毎月8万円の返済なら6年目以降の上限は毎月10万円です。そのため、残高に応じた利息が10万円を超えていると、6年目以降も未払利息の発生が止まらなくなります。仕組み全体は5年ルール・125%ルールの解説で確認できます。

何%で起きる?自分の境目の金利を計算する方法

未払利息が出始める目安は、「毎月の返済額×12÷ローン残高」で求められます。これが、その残高に対して利息がちょうど返済額と同じになる年利です。

計算例として、3,500万円を35年(420回)・0.6%で借りた場合、毎月の返済額は92,411円です。92,411円×12÷3,500万円は約3.168%で、借りた直後の残高に対しては、適用金利がこれを超えると利息が返済額を上回ります。実際には返済が進むと残高が減るため、境目の金利は少しずつ上がっていきますが、借入れの初期ほど境目は低いということになります。

自分のローンでも、返済予定表の返済額と残高を使えば同じ計算ができます。今の適用金利と境目の差が何ポイントあるかを知っておくと、金利変更の通知を見たときの判断材料になります。

計算例:毎年1ポイントずつ上がった場合

極端な例として、3,500万円・35年・当初0.6%の変動金利が、毎年1ポイントずつ上がって5年目に4.6%に達し、そのまま続くと仮定します。本サイトの変動金利と固定金利の比較で、5年ルール・125%ルールありとして計算した結果です。予測ではなく、仕組みを確かめるための仮定です。

3,500万円・420回、0.6%から毎年1ポイント上昇(上限4.6%)、5年ルール・125%ルールあり
時期毎月の返済額
1〜60回目92,411円
61〜120回目115,513円
121〜180回目144,391円
181〜240回目180,488円
241〜300回目225,610円
301回目以降235,101円

金利が3.6%になった37回目から未払利息が発生し、60回目の時点で511,992円たまっています。このときの残高は33,291,095円で、5年間でわずか約171万円しか減っていません。61回目からの返済額は125%の上限で115,513円にとどまり、未払利息は最大1,238,112円まで増えました。

3,500万円・35年:毎年+1ポイント・5年ルールあり
3,500万円・35年:毎年+1ポイント・5年ルールあり横軸は経過年数、縦軸は毎月の返済額。総返済額は固定3,881万円、変動シナリオ7,372万円。0万6.3万12.5万18.8万25万0年18年35年
  • 金利0.6%のまま
  • 1年ごとに+1(上限4.6%)

0.6%から毎年1ポイント上がり4.6%で止まると仮定。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
3,500万円・35年:毎年+1ポイント・5年ルールあり
金利0.6%のまま1年ごとに+1(上限4.6%)
1年目92,411円92,411円
5年目92,411円92,411円
10年目92,411円115,513円
15年目92,411円144,391円
20年目92,411円180,488円
25年目92,411円225,610円
30年目92,411円235,101円
35年目92,411円235,101円
総返済額38,811,976円73,716,681円

返済額が抑えられても、総額は大きくなる

同じ金利の動きで、金利が変わるたびに返済額を計算し直す場合と比べると、違いがはっきりします。再計算する場合の最大の返済額は162,291円で、総返済額は66,008,882円です。5年ルール・125%ルールありの場合は、最初の15年の返済額が抑えられる代わりに元金がなかなか減らず、総返済額は73,716,681円と、7,707,799円多くなりました。

この例では、後半の大きな返済額で未払利息と残高が解消され、最終回にまとめて払う額は残りませんでした。しかし、全国銀行協会の解説にあるとおり、場合によっては通常の返済が終わっても未払利息が残る可能性があります。PayPay銀行も、5年ルール・125%ルールは返済額の増加を先送りする仕組みで、総返済額を減らすものではないと説明しています。

3,500万円・35年:毎年+1ポイント・毎回再計算
3,500万円・35年:毎年+1ポイント・毎回再計算横軸は経過年数、縦軸は毎月の返済額。総返済額は固定3,881万円、変動シナリオ6,601万円。0万5万10万15万20万0年18年35年
  • 金利0.6%のまま
  • 1年ごとに+1(上限4.6%)

上の図と同じ金利の動きで、金利が変わるたびに返済額を計算し直した場合。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
3,500万円・35年:毎年+1ポイント・毎回再計算
金利0.6%のまま1年ごとに+1(上限4.6%)
1年目92,411円92,411円
5年目92,411円162,291円
10年目92,411円162,291円
15年目92,411円162,291円
20年目92,411円162,291円
25年目92,411円162,291円
30年目92,411円162,291円
35年目92,411円162,291円
総返済額38,811,976円66,008,882円

緩やかな上昇なら未払利息は出ないこともある

同じ3,500万円・0.6%のローンで、金利が毎年0.5ポイントずつ上がって3.1%で止まると仮定すると、未払利息は発生しませんでした。最高の3.1%が、借入初期の境目である約3.168%を下回っているためです。返済額は60回目まで92,411円、61回目から115,513円、121回目から143,694円と見直されます。

未払利息は「変動金利なら必ず起きる」ものではなく、返済額に対して金利がどこまで上がるかで決まります。逆に言えば、借入れの初期に金利が大きく上がった場合ほど起きやすいということです。自分の境目の金利と、5年ごとの見直し時期を知っておくことが備えになります。

自分の契約で確認すること

未払利息の扱いは契約によって違います。次の点を契約書や金融機関の説明で確認しておきましょう。

  • 5年ルール・125%ルールがあるか。三菱UFJ銀行は元金均等返済にはこれらのルールがないと案内しており、PayPay銀行のようにルール自体を設けていない住宅ローンもあります(5年ルールがない住宅ローンの解説)。
  • 未払利息が生じた場合の精算方法。全国銀行協会の解説は、精算の方法は金融機関によって異なるとしています。
  • 未払利息に利息がかかるか。解説では、一般的に未払利息にさらに利息がかかることはないものの、別に支払わない限り返済終了時まで蓄積されるとされています。

返済額の見直し時期は変動金利の見直し時期で整理しています。

未払利息が出る条件を自分で試算する

変動金利と固定金利の比較シミュレーションで、借入額にローン残高、返済期間に残り期間、変動金利に現在の適用金利を入れ、上昇幅・間隔・上限を設定してください。「返済額の見直し方法」で5年ルール・125%ルールありを選ぶと、未払利息の最大額と最終回に上乗せされる額が表示されます。

実際の見直しは、契約で決まった基準日に行われます。本サイトの計算は一般的な仕組みに沿った目安で、銀行の返済予定表とは一致しない場合があります。今の金利で返済額がいくら増えるかを見るときは、金利上昇シミュレーションも使えます。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。