この記事のポイント
- 残高1,000万円では減る利息が大きくないため、諸費用の重みが結果を左右する
- 1.6%・諸費用40万円で、残り20年・金利差0.5%なら総額146,936円減、残り15年なら2,329円減
- 同じ40万円を期間短縮型で繰り上げても、残り20年なら利息は146,988円減とほぼ同じ
- 残り5年では金利差1.0%でも、諸費用込みの総額は141,262円増えた
残高1,000万円では諸費用の重みが大きい
残高1,000万円の借り換えでは、金利が下がって減る利息がそれほど大きくないため、諸費用をどれだけ上回れるかが結果を左右します。計算例として、現在の金利を年1.6%、諸費用を40万円(いずれも仮定)とすると、残り10年なら金利差0.8%でようやく総額が19,309円減り、残り15年では金利差0.5%でも2,329円減とほぼ差がなく、残り20年なら金利差0.5%で146,936円減でした。
月々の返済額は金利差0.5%で2,200円前後下がりますが、総額で見ると費用とほぼ相殺される条件も多くあります。残高が小さいローンでは、「月々が下がるか」より「費用を含めた総額が減るか」を必ず確かめることが大切です。
残り期間・金利差別の早見表
現在の金利年1.6%から、同じ残り期間のまま金利だけが下がる場合です。諸費用40万円は借り換え時に別途払う前提で、マイナスは総額が減ることを示します。
| 残り期間 | 金利差0.3% | 金利差0.5% | 金利差0.8% | 金利差1.0% |
|---|---|---|---|---|
| 10年 | +241,509円 | +136,687円 | −19,309円 | −122,475円 |
| 15年 | +157,475円 | −2,329円 | −239,250円 | −395,323円 |
| 20年 | +69,834円 | −146,936円 | −467,151円 | −677,302円 |
月々の差は、残り10年で金利差0.3%なら1,321円、1.0%なら4,354円の減少、残り20年で0.3%なら1,375円、1.0%なら4,488円の減少でした。月々の差はどの条件でも数千円以内で、それを残りの回数だけ積み上げた額と40万円の費用の大小で、総額の増減が決まります。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 毎月の返済額 | 支払総額 | |
|---|---|---|
| 今のローンを継続 | 48,716円 | 11,691,659円 |
| 借り換え(諸費用込み) | 46,437円 | 11,544,723円 |
費用がなければいくら減るのか
諸費用を0円とした場合の総額の減少は、残り10年・金利差0.3%で158,491円、0.5%で263,313円、残り15年・0.3%で242,525円、0.5%で402,329円、残り20年・0.3%で330,166円、0.5%で546,936円です。これが「金利が下がったことだけで減る利息」で、ここから諸費用を引いた残りが借り換えの効果になります。
言い換えると、この例で借り換えの効果が出るのは、減る利息が諸費用より大きい場合だけです。残り10年・金利差0.5%なら、諸費用が263,313円より少なければ総額が減り、多ければ増えます。見積りの諸費用がこの金額と比べてどうかを見れば、判断の見当がつきます。
同じ金利差でも、残り期間が10年から20年に延びると、費用がない場合の減少額は約2倍になります。残高1,000万円の借り換えでは、金利差の大きさと同じくらい、残りの期間の長さが結果を左右します。
同じ40万円を繰上返済に回したら
借り換えの諸費用として払う予定の40万円を、そのまま今のローンの繰上返済に回すという考え方もあります。年1.6%のまま40万円を期間短縮型で繰り上げると、減る利息は残り10年で68,039円(5か月短縮)、15年で106,013円(8か月短縮)、20年で146,988円(11か月短縮)でした。
残り20年・金利差0.5%の借り換えで減る総額146,936円と、40万円の繰上返済で減る利息146,988円は、ほぼ同じです。どちらも40万円の現金が出ていく点は同じですが、全国銀行協会のFP回答は、繰上返済は借り換えと比べて手続きの手間が少なく、手数料も格段に低いと説明しています。一方、借り換えで金利が下がれば毎月の返済額も下がります。残高が小さいローンでは、借り換えと繰上返済を同じ金額で比べてみると判断しやすくなります。繰上返済の計算は繰上返済100万円の効果も参考になります。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 方法 | 利息の合計 | 毎月の返済額 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| 繰上返済なし | 1,691,659円 | 48,716円 | 20年 |
| 期間短縮型 | 1,544,671円 | 48,716円 | 19年1か月 |
| 返済額軽減型 | 1,623,938円 | 46,768円 | 20年 |
残高が小さい場合に確認したい費用
諸費用の中には、借入額に応じて変わるものと、借入額にかかわらずかかるものがあります。たとえば金銭消費貸借契約書の印紙税は、国税庁の一覧表(令和8年4月1日現在法令等)で、契約金額が500万円を超え1千万円以下なら1万円、1千万円を超え5千万円以下なら2万円です。借り換えの借入額が1,000万円ちょうどなら1万円の区分に当たります。
事務手数料や司法書士報酬などに金額の決まった部分がある場合、残高が小さいほど費用の割合が大きくなります。見積りを取るときは、項目ごとに「借入額に比例するか、定額か」を確認しておくと、ほかの借り換え先と比べやすくなります。費用の項目は借り換え諸費用の内訳で整理しています。
残り5年なら借り換えの効果はさらに小さい
残りの期間が短くなるほど、金利差による利息の減少は小さくなります。残高1,000万円・残り5年で、年1.6%から金利が0.5%下がる場合、費用がなければ総額は129,889円減りますが、諸費用40万円を含めると270,111円増えます。金利差が1.0%でも、費用込みでは141,262円増えました。
毎月の返済額は金利差0.5%で2,165円、1.0%で4,313円下がるものの、残り60回では積み上げても費用に届きません。返済の終わりが見えてきたローンでは、借り換えより、手元資金の範囲で繰上返済をするほうが手間も費用も少なく済む場合があります。どちらにするかは、見積りの費用と自分の手元資金で計算して決めてください。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 毎月の返済額 | 支払総額 | |
|---|---|---|
| 今のローンを継続 | 173,534円 | 10,411,960円 |
| 借り換え(諸費用込み) | 171,369円 | 10,682,071円 |
目安とされる条件との関係
全国銀行協会のFP回答では、借り換えの効果の目安として「残高1,000万円以上、残り10年以上、金利差1%以上」が紹介されています。この記事の計算では、残高1,000万円・残り10年・金利差1.0%・諸費用40万円で総額が122,475円減りました。同じ残高・期間・金利差でも、現在の金利を年1.5%・諸費用を60万円とした別の計算では総額が増えており(目安の検証参照)、残高1,000万円はちょうど費用しだいで結論が分かれる水準と言えます。
残高がこれより小さい場合や、残りの期間が短い場合は、借り換え以外の方法も含めて検討するのが現実的です。
自分の見積りで計算する
借り換えシミュレーションに、現在の残高・残り期間・金利と、借り換え先の金利・期間、見積りの諸費用の合計を入れてください。同時に繰上返済シミュレーションで、諸費用と同じ金額を繰り上げた場合の減る利息も確認すると、二つの方法を同じ金額で比べられます。
参照した情報
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。