この記事のポイント
- 住宅ローンを完済しても抵当権の登記は自動では消えず、法務局への抹消登記の申請が必要です。
- 取引銀行から届く書類には再発行されないものがあるため、届いたら速やかに申請します。
- 抹消登記の登録免許税は本サイトが確認した国税庁の税額表には掲載がなく、法務局で確認します。
- 残高800万円・残り96回・年1.0%で300万円を期間短縮すると、完済が36回早まります。
住宅ローンを完済しても、抵当権の登記は自動では消えない
住宅ローンを借りるとき、金融機関は土地や建物に抵当権を設定し、不動産登記簿に登記します。全国銀行協会の解説によると、この抵当権の登記は住宅ローンの返済が終わっても自動的には抹消されず、不動産の所在地を管轄する法務局に抹消登記を申請しないと、登記簿に抵当権の登記が残ったままになります。
完済すると、一般的に、抵当権の登記を抹消するために必要な書類が取引銀行から送られてきます。全国銀行協会は、この書類が届いたらできるだけ速やかに抹消登記を申請するよう勧めています。
抵当権は、住宅ローンの担保として金融機関が持っている権利です。返済が終われば担保としての役目は終わりますが、登記簿の記載は申請をしない限り残ります。完済の達成感で手続きを忘れがちですが、最後の手続きとして予定に入れておくことが大切です。
抵当権抹消の手続きの流れ
- 完済後、取引銀行から抹消に必要な書類(例:委任状、解除証書等)を受け取る
- 書類の作成日付欄や不動産の表示欄が空欄になっていないかを確認する(銀行によっては自分で記入するよう空欄にしている場合がある)
- 法務局のウェブサイトから様式を入手し、登記申請書を自分で作成する
- 銀行から届いた書類と登記申請書を、不動産の所在地を管轄する法務局に提出する
法務局では登記申請書の作成代行は行っておらず、窓口に登記申請書の用紙も備え付けられていないとされています。記載漏れがあると申請の不備になるため、提出前に見直します。手続きは司法書士に依頼することもでき、その場合の費用は自己負担です。
法務局の手続案内を利用する
全国銀行協会の解説によると、法務局では窓口での対面、オンラインでの面談、電話といった方法で手続案内を実施しています。利用するには事前予約が必要で、案内の方法は法務局によって異なるため、管轄の法務局のウェブサイトで確認します。
銀行から届いた書類の内容について分からない点があれば、取引銀行に問い合わせます。自分で申請するか司法書士に依頼するかは、手間と費用のどちらを重く見るかの判断です。住所や氏名が登記簿の記載と変わっている場合など、手続きが複雑になりそうなときは、事前に法務局の手続案内で確認しておくと安心です。
自分で申請する場合に用意するものは、登記申請書と銀行から届いた書類一式などです。具体的な必要書類と記載例は、法務局のウェブサイトで案内されている内容に従ってください。
放置すると何が困る?書類の紛失にも注意
抵当権の登記が残ったままだと、その不動産を担保にして新たに融資を受けることが難しくなるなどの不利益が生じる可能性があると、全国銀行協会は説明しています。
また、取引銀行から送られる書類の中には、紛失や汚損をしても再発行されないものがあると全国銀行協会は注意を促しています。そうした書類をなくすと、抹消登記の申請に特別な手続きが必要になることもあり、通常より時間と手間がかかります。【フラット35】の案内でも、旧住宅金融公庫を含む機構の抵当権抹消に必要な書類が手元にない場合の手続きが別に案内されています。「そのうちやろう」と後回しにするほど、書類をなくすリスクは高まります。
時間がたつほど、書類の保管場所や、完済した当時の事情を思い出しにくくなります。完済した本人が書類を受け取ったうちに手続きを終えておくことが、後で家族が困らないための一番確実な方法です。
抹消登記の登録免許税などの費用
本サイトが出典として確認した国税庁の「登録免許税の税額表」(No.7191)の不動産の登記の主な項目には、抵当権の抹消登記の税額は掲載されていません。抹消登記に登録免許税がかかるか、かかる場合の税額と納め方は、管轄の法務局の案内で確認してください。自分で申請する場合に必要な書類も同じ案内で確かめておくと、準備の漏れを防げます。
司法書士に依頼する場合は、報酬と実費が別にかかります。見積りを取るときは、登録免許税の部分と報酬の部分を分けて記載してもらうと内容を確認しやすくなります。抵当権を設定するときの登録免許税は抵当権設定登記の登録免許税で整理しています。
繰上返済で完済が早まる場合の計算例
繰上返済で完済の時期が早まれば、抹消の手続きもその分早く訪れます。計算例として、残高800万円・残り96回(8年)・年1.0%(仮の値)の住宅ローンで、300万円を期間短縮型で繰上返済した場合を本サイトの計算方法で試算します。
| 項目 | 繰上返済なし | 繰上返済あり |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 86,746円 | 86,746円(据え置き) |
| 残りの返済回数 | 96回 | 60回(36回短縮) |
| 最終回の返済額 | — | 8,164円 |
| 減る利息 | — | 201,370円 |
この例では完済が3年早まり、最終回は8,164円の少額になります。繰上返済をしない場合の利息の合計は327,548円なので、その6割以上が減る計算です。完済の月が近づいたら、抹消書類の送付時期と送付先を金融機関に確認しておきましょう。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 方法 | 利息の合計 | 毎月の返済額 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| 繰上返済なし | 327,548円 | 86,746円 | 8年 |
| 期間短縮型 | 126,178円 | 86,746円 | 5年 |
| 返済額軽減型 | 204,691円 | 54,217円 | 8年 |
完済の前後で確認しておくこと
- 最終回の返済日と金額(一括返済の場合は手数料を含む金額)
- 抹消書類が届く時期と送付先(住所が変わっている場合は事前に変更手続をする)
- 書類の中身と、空欄を自分で記入する必要があるか
- 自分で申請するか、司法書士に依頼するか
【フラット35】の返済中の案内には、住所・氏名などの変更手続や、完済後の手続きの案内も掲載されています。完済後は、届いた書類を他の重要書類と一緒に保管し、できるだけ早く申請することが、紛失を防ぐ一番の方法です。申請が終わったら、登記が抹消されたことを登記事項証明書などで確かめておくと、手続きの完了を確認できます。
完済の時期を試算で確かめる
完済が見えてきたら、残りの返済回数を確かめ、抹消手続の時期を家族と共有しておくと、書類の受け取りや保管を忘れにくくなります。繰上返済の比較に、残高・残りの返済期間・金利・繰上返済の額を入れると、期間短縮型で何回短くなるかと、減る利息を確認できます。一括で返し終える場合の考え方は住宅ローンの一括返済、繰上返済の方式の違いは期間短縮と返済額軽減で解説しています。
参照した情報
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。