諸費用と契約

連帯債務・連帯保証・ペアローンの違い:住宅ローンの返済責任と団信

夫婦や親子で住宅ローンを組むときの連帯債務・ペアローン・収入合算の違いを、【フラット35】の条件と国税庁の案内で整理。借入期間の上限や月々の返済額の違いを計算例で示します。

この記事のポイント

  • 収入合算は連帯債務、ペアローンは2つの借入れで、返済の責任と団信の効き方が違います。
  • 年収の50%超を合算すると高い方の年齢が基準になり、機構の例では借入期間が最長24年になります。
  • 3,000万円・1.0%なら24年で毎月117,210円、35年で84,686円と、期間で月々が大きく変わります。
  • 4,000万円を同じ金利・期間で2つに分けても、毎月の合計は112,915円で変わりません。

連帯債務・ペアローン・連帯保証の違いを一覧で確認

夫婦や親子で住宅ローンを組む方法は、「1つのローンを2人で負う」か「2つのローンをそれぞれが負う」か、そして「債務者になる」か「保証人になる」かで分かれます。【フラット35】の公式情報で確認できる範囲を中心に、違いを一覧にします。

夫婦・親子で借りる方法の違い(【フラット35】の例を中心に)
借り方ローンの数返済の責任団信
収入合算(連帯債務)1つ合算者も連帯債務者になる取扱金融機関で確認(ペア連生団信は夫婦等の連帯債務の申込みがある場合に限る)
ペアローン2つそれぞれが自分の借入れを返すそれぞれ別に申込み、一方が精算されても他方は返済を続ける
連帯保証1つ保証人として債務を保証する契約によって異なる

連帯保証人の責任の範囲など、連帯保証の詳しい扱いはこの記事で確認した資料には書かれていません。全国銀行協会の解説では、保証料は連帯保証人を立てない代わりに保証会社に保証人になってもらうための費用とされており、【フラット35】では保証人は必要ありません。連帯保証を求められる契約では、その内容を金融機関に確認してください。

収入合算と連帯債務:フラット35の条件

【フラット35】では、申込み本人と要件に当てはまる人ひとりの収入を合算して申し込むことができます。合算できる人の要件は、申込み本人の親・子などの直系親族または配偶者であること、申込時の年齢が満70歳未満であること、申込み本人と同居すること、連帯債務者になることの4つです(申込み本人に配偶者がいない場合の兄弟姉妹など、例外もあります)。

合算できる金額は合算者の年収の全額までですが、合算額が合算者の年収の50%を超える場合には、借入期間が短くなる場合があります。申込みができるのは連帯債務者を含めて2名までです。合算者は連帯債務者として返済の責任を負うため、「収入を貸すだけ」という感覚で引き受けるものではない点に注意が必要です。

借入期間の上限は年齢で変わる:24年と35年の例

【フラット35】の借入期間の上限は「80歳−申込時の年齢(1年未満切上げ)」と35年のいずれか短い年数で、年収の50%を超えて合算した収入合算者がいる場合は、申込み本人と合算者のうち高い方の年齢が基準になります。機構の例では、申込み本人30歳・年収400万円、合算者55歳・年収600万円で、600万円を全額合算すると合算者の56歳が基準となり最長24年、合算額を300万円以下にすると本人の31歳が基準となり最長35年です。

借入額3,000万円・年1.0%(仮の値)での比較
借入期間毎月の返済額返済総額
24年117,210円33,756,112円
35年84,686円35,567,733円

24年では毎月の返済額が32,524円大きくなる一方、総額は約181万円少なくなります。合算の方法によって借入期間が変わり、毎月の負担が大きく変わることが分かります。

3,000万円・年1.0%の年末残高(24年と35年)
3,000万円・年1.0%の年末残高(24年と35年)横軸は経過年数、縦軸は年末のローン残高。24年、35年。0750万1,500万2,250万3,000万0年10年20年30年35年
  • 24年
  • 35年

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
3,000万円・年1.0%の年末残高(24年と35年)
経過24年35年
0年後30,000,000円30,000,000円
5年後24,329,146円26,329,333円
10年後18,367,656円22,470,554円
15年後12,100,652円18,414,014円
20年後5,512,463円14,149,581円
25年後完済9,666,599円
30年後完済4,953,867円
35年後完済0円

ペアローン:2つの借入れ、2つの抵当権、2つの団信

【フラット35】のペアローンは、1つの物件に対して夫婦、親子、パートナーなどがそれぞれ単独で借入申込みを行い、2つの【フラット35】を併せて利用する制度です。借入額はそれぞれ100万円以上1億2,000万円以下で、2つの合計は住宅の建設費または購入価額以下です。それぞれの借入期間を変えることや、一方を元利均等返済・もう一方を元金均等返済にすることもできます。

融資率(9割以下・9割超)は2つの融資を合算して算出し、借入金利が決まります。2つの融資それぞれに抵当権を設定し、それぞれに返済口座を設定します。団信は2つの融資それぞれについて別々に申込みが必要で、一方に万一のことがあってその人の返済が不要になっても、もう一方は自分の債務の返済を続ける必要があります。

計算例:4,000万円を1人で借りる場合と、2人で分ける場合

4,000万円を35年・年1.0%(仮の値)で1人で借りると、毎月の返済額は112,915円です。同じ条件で2,500万円と1,500万円に分けると、70,572円と42,343円で、合計は112,915円と同じになります。金利と期間が同じなら、分けても毎月の合計はほとんど変わりません。

4,000万円を分けて借りる場合(年1.0%・仮の値)
借り方毎月の返済額合計
1人で4,000万円・35年112,915円112,915円
2,500万円・35年+1,500万円・35年70,572円+42,343円112,915円
2,500万円・35年+1,500万円・25年70,572円+56,531円127,103円

一方の期間を25年にすると、合計は127,103円に増えます。それぞれの借入期間を選べる分、2人の年齢や働き方に合わせた設計ができますが、契約書や印紙税、抵当権の設定などの手続きと費用は2つ分になる点も確認しておきます(印紙税は住宅ローンの印紙税)。

年1.0%の毎月の返済額(借入額・期間別)
  1. 1人で4,000万円・35年112,915円
  2. 2,500万円・35年70,572円
  3. 1,500万円・35年42,343円
  4. 1,500万円・25年56,531円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
年1.0%の毎月の返済額(借入額・期間別)
条件毎月の返済額総返済額利息の合計
1人で4,000万円・35年112,915円47,423,677円7,423,677円
2,500万円・35年70,572円29,639,691円4,639,691円
1,500万円・35年42,343円17,783,733円2,783,733円
1,500万円・25年56,531円16,959,089円1,959,089円

親子リレー返済も連帯債務

【フラット35】の親子リレー返済は、申込み本人とその後継者が2世代で返済する制度で、後継者は借入当初から連帯債務者になります。後継者の要件は、申込み本人の子・孫など(直系卑属)またはその配偶者で定期的収入があること、申込時の年齢が満70歳未満であること、連帯債務者になることです。

連帯債務者になれるのは1名のみであるため、親子リレー返済の後継者以外は連帯債務者になれません。後継者の年齢をもとに借入期間を選べるため、本人が60歳3か月・後継者が30歳3か月の例では、利用しない場合の19年に対し、利用すると最長35年になります。

住宅ローン控除の手続きでは連帯債務の付表が必要

国税庁のNo.1211-1では、住宅ローン控除を受ける最初の年分の確定申告で、連帯債務がある場合は「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も必要とされています。付表の名称のとおり、連帯債務がある場合は、年末残高の計算に専用の明細書を使います。

国税庁のNo.1225には、連帯債務により住宅を取得し単独所有とした場合についての質疑応答も掲載されています。持分や負担の割合と控除の関係は、借り方を決める前に税務署で確認しておくと安心です。ペアローン・共働きの控除の計算はペアローンの住宅ローン控除で扱います。

2人で借りる場合の返済額と控除を試算する

2人分の借入れは、それぞれの借入額・返済期間・金利を金利上昇シミュレーションに入れて毎月の返済額を出し、合計して家計の予算と比べます。毎月の予算から合計の借入額を考えるなら返済予算からの逆算、控除額の目安は住宅ローン控除の計算にそれぞれの借入額を入れて確認してください。収入合算とペアローンの借入額の考え方はペアローンと収入合算の違いでも整理しています。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。