贈与と税

住宅取得等資金の贈与税の非課税:上限額と主な要件

父母や祖父母から住宅資金の贈与を受けると、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外は500万円まで贈与税が非課税になります。受贈者と住宅の要件、申告期限、住宅ローン控除への影響を計算例で解説します。

この記事のポイント

  • 直系尊属からの住宅取得等資金の贈与は、省エネ等住宅で1,000万円、それ以外で500万円まで非課税です。
  • 1000万円の贈与で借入額を3500万円に減らした例では、月々30,618円、利息は2,859,820円減ります。
  • 特例を受けるには、贈与税がかからない場合でも翌年2月1日〜3月15日に贈与税の申告が必要です。
  • 住宅ローン控除では、特例を受けた贈与の額を取得対価から差し引いて計算します。

非課税になるのは省エネ等住宅で1,000万円、それ以外で500万円まで

国税庁 No.4508(令和8年4月1日現在法令等)によると、令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属から、自分が住む住宅の新築・取得・増改築等のための資金(住宅取得等資金)の贈与を受けた場合、一定の要件を満たせば、贈与を受けた人ごとに次の額まで贈与税が非課税になります。

  • 省エネ等住宅:1,000万円まで
  • それ以外の住宅:500万円まで

計算例として、4500万円の住宅を買うときに1000万円の贈与を受け、借入額を4500万円から3500万円に減らした場合を考えます。35年・金利1.5%(計算例として仮定)の元利均等返済なら、月々の返済額は137,783円から107,165円へ30,618円減り、総返済額に含まれる利息は12,868,589円から10,008,769円へ2,859,820円減ります。この特例を受けるには、贈与税がかからない場合でも贈与税の申告が必要です。

住宅取得等資金の贈与税の非課税限度額
  1. 省エネ等住宅1,000万円
  2. それ以外の住宅500万円

令和6年1月1日から令和8年12月31日までの贈与。贈与を受けた人ごとの額です。
出典:国税庁:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

グラフの数値を表で見る
住宅取得等資金の贈与税の非課税限度額
項目値
省エネ等住宅1,000万円
それ以外の住宅500万円
贈与の有無による利息の合計(35年・1.5%)
  1. 贈与なし・4500万円1,287万円
  2. 1000万円の贈与・3500万円1,001万円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
贈与の有無による利息の合計(35年・1.5%)
条件毎月の返済額総返済額利息の合計
贈与なし・4500万円137,783円57,868,589円12,868,589円
1000万円の贈与・3500万円107,165円45,008,769円10,008,769円

「省エネ等住宅」に当たる基準

省エネ等住宅とは、省エネルギー性能・耐震性能・バリアフリー性能のいずれかの基準に適合することを、住宅性能証明書などの書類を贈与税の申告書に添付して証明した住宅です。

住宅取得等資金の非課税で「省エネ等住宅」とされる基準(国税庁 No.4508)
家屋の区分省エネルギー性能耐震性能バリアフリー性能
新築・建築後使用されていない家屋断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上
建築後使用されたことのある家屋・増改築等をした家屋断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上同上同上

新築でも、令和5年12月31日までに建築確認を受けた家屋または令和6年6月30日までに建築された家屋で、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上のいずれかに適合すると証明されたものは、省エネ等住宅とみなされます。どの基準で証明するかは、施工会社や売主に早めに確認しておくと安心です。

贈与を受ける人(受贈者)の主な要件

  • 贈与を受けた時に、贈与者の直系卑属(子や孫など)であること。配偶者の父母や祖父母は直系尊属に当たりません(養子縁組をしている場合を除く)。
  • 贈与を受けた年の1月1日に18歳以上であること。
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること(新築等をする家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満なら1,000万円以下)。
  • 平成21年分から令和5年分までの贈与税の申告で、この非課税の特例を受けたことがないこと(一定の場合を除く)。
  • 配偶者や親族など特別の関係がある人から住宅を取得したり、その人との請負契約で新築したりしたものではないこと。
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、資金の全額を充てて住宅の新築等をし、その家屋に住むこと(または同日後遅滞なく住むことが確実と見込まれること)。
  • 贈与を受けた時に日本国内に住所があること(一定の例外あり)。

受贈者が住宅を所有する(共有持分を持つ場合を含む)ことにならなければ、この特例は使えません。共有名義にする場合は、贈与を受けた人が持分を持つ形になっているかを確認しておきましょう。

対象になる住宅の要件

新築または取得する住宅は、登記簿上の床面積(マンションは専有部分)が40平方メートル以上240平方メートル以下で、その2分の1以上を受贈者が住まいとして使うものであることが必要です。対象は日本国内の住宅に限られます。

取得する住宅は、建築後使用されていない家屋か、建築後使用されたことのある家屋なら、昭和57年1月1日以後の建築、耐震基準への適合の証明、または贈与を受けた翌年3月15日までの耐震改修による適合の証明のいずれかに当たる必要があります。増改築等の場合は、工事費用が100万円以上で、その2分の1以上が自分の住む部分の工事であることなどが要件です。住宅の新築に先立って取得する敷地や、住宅とともに取得する敷地の資金も、この特例の「住宅取得等資金」に含まれます。

申告は翌年2月1日〜3月15日。住めなければ修正申告

非課税の特例を受けるには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、特例を受ける旨を記載した贈与税の申告書に、戸籍の謄本、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出します。国税庁は特例ごとのチェックシートと添付書類の区分を公表しているので、申告前に確認しておくと漏れを防げます。

翌年3月15日の時点で住んでいなくても、遅滞なく住むことが確実と見込まれれば特例を受けられますが、贈与を受けた年の翌年12月31日までに住んでいない場合は、原則として特例を受けられず、修正申告が必要になります。完成時期が遅れそうな注文住宅では、贈与の時期と入居予定をあわせて考えておきましょう。

住宅ローン控除では、取得対価から贈与分を差し引く

住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合、住宅ローン控除の計算に使う「取得対価」から、その特例を受けた資金の額を差し引きます(国税庁 No.1211-1)。控除の基準は年末残高と取得対価の少ない方なので、借入額が「取得対価−贈与額」を上回ると、上回った部分は控除の計算に入りません。

計算例として、2026年4月入居の新築の認定住宅(控除限度額31.5万円)で、借入額3,800万円、取得対価から贈与分を差し引いた額が3,500万円と仮定します(35年・金利1.5%)。1〜3年目は年末残高が3,500万円を上回るため、控除額は3,500万円×0.7%=245,000円にとどまり、13年間の合計は2,888,400円です。取得対価が上限にならない場合の2,921,900円より33,500円少なくなります。

なお、国土交通省は、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置を住宅ローン減税と併用できる税制として案内しています。贈与で借入額が減れば、控除額は小さくなる一方で利息も減ります。冒頭の例を2026年4月入居のZEH水準省エネ住宅として計算すると、13年間の控除額は借入4500万円で3,131,800円、3500万円で2,691,300円です。

贈与後の借入額で返済と控除を試算する

贈与を受ける前後で借入額を変えて、金利上昇シミュレーションで月々の返済額と残りの総額を比べてみてください。住宅ローン控除への影響は住宅ローン控除シミュレーションの「住宅の取得対価」に、贈与分を差し引いた額を入れると確認できます。

月々の返済予算から借入額を考える場合は返済予算シミュレーションが使えます。親からの援助で頭金を増やす効果は親からの援助と返済額、非課税枠を超える贈与の選択肢は住宅取得等資金と相続時精算課税で説明しています。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。