税と控除

住宅ローン控除の住民税分:所得税で引ききれない額の計算

所得税から引ききれなかった住宅ローン控除は、前年分の課税総所得金額等の5%(上限97,500円)まで翌年度の住民税から差し引かれます。所得税額別の4つの例と、控除が使い切れない場合を計算します。

この記事のポイント

  • 住民税から控除できる額の上限は、前年分の所得税の課税総所得金額等の5%で、97,500円が限度です。
  • 控除額14万円・所得税額6万円・課税総所得金額等120万円の例では、20,000円が使い切れません。
  • 課税総所得金額等が195万円を超えると、住民税からの控除は97,500円で頭打ちになります。
  • 住民税の住宅ローン控除を受けるために、市区町村へ申告する必要はありません。

引ききれない額は、課税総所得金額等の5%まで住民税から

住宅ローン控除の額がその年の所得税額より大きいとき、引ききれなかった額は翌年度の個人住民税から差し引かれます。総務省の説明によると、住民税から控除できる額の上限は「前年分の所得税の課税総所得金額等の5%」で、97,500円が限度です。居住年が2014年から2021年で、消費税率8%または10%が適用された取得などの場合は、7%・136,500円が限度とされています。

計算例として、2026年4月に3500万円を借りて省エネ基準適合住宅に入居し(控除限度額14万円)、所得税額が年6万円、課税総所得金額等が120万円の人なら、所得税から60,000円を控除し、残り80,000円のうち120万円×5%=60,000円までが住民税から控除されます。この年に実際に控除されるのは合計120,000円で、20,000円は使い切れません。

住民税から控除される額を求める3つの段階

  1. 控除額を求める:年末残高等×0.7%(100円未満切捨て)と控除限度額の小さい方。
  2. 所得税から引く:その年分の所得税額まで控除し、引ききれなかった額を出します。
  3. 住民税の上限と比べる:引ききれなかった額と「前年分の所得税の課税総所得金額等×5%(97,500円まで)」の小さい方が、翌年度の住民税から控除される額です。

「前年分」とあるのは、所得税で引ききれなかった年分の課税総所得金額等を使うという意味です。たとえば2026年分の所得税で引ききれなかった額は、2026年分の課税総所得金額等をもとに上限を計算し、2027年度の住民税から差し引かれます。

所得税額別に、どこまで控除されるかを比べる

同じ控除額140,000円でも、所得税額と課税総所得金額等によって、使い切れるかどうかが変わります。

2026年4月入居・省エネ基準適合住宅・3500万円・35年・金利1%(1年目の控除額140,000円)
所得税額/課税総所得金額等所得税から引ききれない額住民税の上限住民税から使い切れない額
4万円/80万円40,000円100,000円40,000円40,000円60,000円
6万円/120万円60,000円80,000円60,000円60,000円20,000円
9万円/180万円90,000円50,000円90,000円50,000円0円
15万円/300万円140,000円0円97,500円0円0円

この例の控除額は13年間毎年140,000円で、合計1,820,000円です。所得税額4万円のケースでは、所得税から520,000円、住民税から520,000円の合計1,040,000円しか控除されず、780,000円は使い切れない計算になります。所得税額9万円なら所得税1,170,000円・住民税650,000円で全額を使い切れます。

控除額が大きいと、住民税の上限97,500円に届く

課税総所得金額等が195万円を超えると、5%が97,500円を上回るため、住民税からの控除は97,500円で頭打ちになります。控除限度額の大きい住宅では、この上限が効いてきます。

計算例として、2026年4月にZEH水準省エネ住宅(控除限度額24.5万円)に5000万円・35年・金利1%で入居し、所得税額が年10万円、課税総所得金額等が260万円と仮定します。1年目の控除額245,000円のうち、所得税から100,000円、引ききれない145,000円のうち住民税から97,500円が控除され、47,500円は使えません。13年間では控除額の合計3,177,200円に対し、所得税から1,300,000円、住民税から1,267,500円で、609,700円が使い切れない計算です。

控除限度額の大きい区分や上乗せを検討するときは、自分の所得税額と住民税の上限で実際に控除される額まで計算しておくと、期待と結果の差を小さくできます。

ZEH水準・5000万円の年ごとの控除額
  1. 2026年245,000円
  2. 2027年245,000円
  3. 2028年245,000円
  4. 2029年245,000円
  5. 2030年245,000円
  6. 2031年245,000円
  7. 2032年245,000円
  8. 2033年245,000円
  9. 2034年245,000円
  10. 2035年245,000円
  11. 2036年245,000円
  12. 2037年245,000円
  13. 2038年237,200円

2026年4月入居・新築・35年・金利1%・元利均等。所得税額・住民税の上限は考慮していない計算上の控除額です。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
ZEH水準・5000万円の年ごとの控除額
年年末残高控除額
2026年49,201,859円245,000円
2027年47,994,630円245,000円
2028年46,775,276円245,000円
2029年45,543,672円245,000円
2030年44,299,697円245,000円
2031年43,043,224円245,000円
2032年41,774,127円245,000円
2033年40,492,280円245,000円
2034年39,197,558円245,000円
2035年37,889,830円245,000円
2036年36,568,964円245,000円
2037年35,234,828円245,000円
2038年33,887,289円237,200円

控除を使い切れるかは「所得税額+住民税の上限」で判定できる

住宅の区分や上乗せを比べるときは、毎年の控除額が「所得税額+住民税の上限(課税総所得金額等×5%、97,500円まで)」に収まるかを見ると、実際に控除される額の目安がつかめます。

  • 控除限度額14万円の住宅:住民税の上限が97,500円まで使えるなら、所得税額が42,500円以上で、限度額いっぱいの年も全額を使い切れる計算です。
  • 控除限度額24.5万円の住宅:同じく所得税額が147,500円以上必要です。
  • 控除限度額31.5万円の住宅:所得税額が217,500円以上必要です。

ただし、住民税の上限が97,500円になるのは課税総所得金額等が195万円以上の場合で、それより少なければ上限も小さくなります。控除限度額の大きい区分ほど、所得税額が少ない世帯では差が縮まることを覚えておきましょう。

市区町村への申告は不要。数字はどこで確認する?

総務省によると、住民税の住宅ローン控除を受けるために市区町村へ申告する必要はありません。確定申告や年末調整で税務署等に申告した情報を市区町村が把握し、控除を行う仕組みです。住宅ローン控除を受ける人の手続きは、確定申告・年末調整のまま変わりません。総務省は年末調整を行った人の算出例として、住宅ローン控除可能額225,000円・控除適用前の所得税額190,000円のケースを示しています。この場合、所得税から190,000円が控除され、残る35,000円が住民税の上限の範囲で翌年度の住民税から控除されることになります。

試算に使う所得税額は、給与所得者なら源泉徴収票の所得税の額が目安になります。課税総所得金額等の求め方は、確定申告書の控えや、税務署・市区町村の案内で確認してください。なお、平成11年から平成18年に入居した人の経過措置など、古い制度には別の扱いがあります。

所得税と住民税の内訳を試算する

住宅ローン控除シミュレーションで「取得対価・所得税額・住民税の計算も入れる」を開き、毎年の所得税額と課税総所得金額等を入れると、年ごとに所得税から控除される額と、翌年度の住民税から控除される額(5%・97,500円上限)を表示します。どちらかを空欄にすると、住民税の計算は行いません。

控除額そのものの計算方法は住宅ローン控除の計算方法、いつ反映されるかは住宅ローン控除はいつ戻るかで説明しています。夫婦で控除を分ける場合の考え方はペアローンの住宅ローン控除を参照してください。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。