団信と保険

団信とは?団体信用生命保険と住宅ローンの仕組み

団体信用生命保険(団信)の仕組みを、保険金がローン残高に充てられる流れと返済表の残高で説明。加入が条件か任意か、保障の範囲、夫婦で借りる場合の注意点を整理します。

この記事のポイント

  • 団信は、万一のとき保険金を住宅ローンの残高に充てて精算する保険で、家族に現金は入りません。
  • 精算されるのはその時点の残高で、3,500万円・35年・1.0%の例では10年後も2,600万円台です。
  • 加入が融資の条件か任意かは金融機関や商品によって異なり、フラット35は加入しなくても利用できます。
  • 団信の費用が保険料か金利に含まれるかは商品によるため、比べるときは扱いをそろえます。

団信とは:万一のとき保険金で住宅ローンの残高を精算する保険

団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンを借りている本人が亡くなったり、所定の状態になったりしたときに、保険金を住宅ローンの残高に充てて精算する保険です。全国銀行協会の解説では、事故や病気などの不測の事態に陥った場合に所定の保険金を債務(ローン残高等)に充当して精算し、遺された家族に負担がかからないようにするための保険と説明されています。

【フラット35】の団信(新機構団体信用生命保険制度)では、住宅金融支援機構が保険契約者・保険金受取人、加入者が被保険者となり、支払われた保険金が債務の返済に充てられます。保険金は家族に直接支払われるのではなく、ローンの返済に使われる仕組みです。

家族から見ると、団信の効果は「住宅ローンの返済がなくなり、家に住み続けられる」という形で現れます。現金が手元に入るわけではないので、生活費の備えは別に考える必要があります。

精算されるのは「その時点の残高」:返済表で確かめる

団信で精算されるのは、保険の対象となる事由が起きた時点のローン残高です。元利均等返済では残高は少しずつ減っていくので、同じ団信でも、借りた直後と20年後では精算される金額が大きく違います。計算例として、借入額3,500万円・35年・金利年1.0%(仮の値)の残高を見てみます。

借入額3,500万円・35年・年1.0%の残高の推移
経過年数その時点の残高それまでに払った返済額
1年34,160,554円1,185,600円
5年30,717,585円5,928,000円
10年26,215,699円11,856,000円
20年16,507,946円23,712,000円
30年5,779,667円35,568,000円

毎月の返済額は98,800円です。10年たっても残高は2,600万円台が残っており、返済の前半ほど団信が肩代わりする金額が大きいことが分かります。自分の残高は返済予定表か、3,500万円の返済表のような早見で確認できます。

3,500万円・35年・年1.0%の年末残高(団信で精算される額)
3,500万円・35年・年1.0%の年末残高(団信で精算される額)横軸は経過年数、縦軸は年末のローン残高。3,500万円・35年・年1.0%。01,000万2,000万3,000万4,000万0年10年20年30年35年

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
3,500万円・35年・年1.0%の年末残高(団信で精算される額)
経過3,500万円・35年・年1.0%
0年後35,000,000円
5年後30,717,585円
10年後26,215,699円
15年後21,483,092円
20年後16,507,946円
25年後11,277,823円
30年後5,779,667円
35年後0円

団信への加入は必須?金融機関や商品によって扱いが違う

全国銀行協会の解説では、住宅ローンの申込みに際して、団体信用生命保険をはじめとする保険の加入が義務づけられたり、推奨されたりするとされています。つまり、加入が融資の条件になっているか、任意かは、金融機関や商品によって異なります。

【フラット35】では、健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合も利用できます。その一方で、借入金利は加入する団信の種類などに応じて異なり、加入しない場合の金利は別に案内されています。加入するかどうか、どの種類にするかで金利が変わる商品では、保障の内容と金利の差を同時に確認することになります。

保障の範囲:死亡・身体障害と、病気などへの上乗せ保障

【フラット35】の団信には、新機構団信と新3大疾病付機構団信の2つがあります。新機構団信は、加入者が死亡・所定の身体障害状態になった場合などに、以後の【フラット35】の返済が不要になります。新3大疾病付機構団信は、それに加えて、3大疾病が原因で一定の要件に該当した場合や、公的介護保険制度の要介護2から要介護5までのいずれかの状態になった場合なども対象です。

民間の住宅ローンにも、病気などへの保障を上乗せした団信が用意されていることがありますが、名称、保障される状態、支払いの条件は商品ごとに異なります。「どの状態になったら」「いくら(残高の全部か一部か)」精算されるのかを、約款や商品説明書で確認します。上乗せの保障に金利がかかる場合の負担はがん団信などの上乗せ金利で計算しています。

夫婦で借りるとき:ペアローンでは団信も1人分ずつ

夫婦や親子で借りる場合、借り方によって団信の効き方が変わります。【フラット35】のペアローンでは、2つの融資それぞれについて別々に団信の加入申込みが必要で、一方に万一のことがあってその人の債務が団信で精算されても、もう一方は自分の債務の返済を続ける必要があります。

一方の借入れを3大疾病付、もう一方を新機構団信にすることや、一方だけ加入することも可能とされています。夫婦を連帯債務とする申込みがある場合に限って、ペア連生団信への加入申込みもできます。借り方による違いは連帯債務・連帯保証・ペアローンで整理しています。

団信の費用はどう払う?保険料と金利の両方を確認

全国銀行協会の諸費用の解説では、団体信用生命保険料は、火災保険料や地震保険料と並んで住宅ローンにかかる保険料の一つに挙げられています。一方、【フラット35】のように、加入する団信の種類などによって借入金利が異なる商品もあります。団信の費用が別払いの保険料として請求されるのか、金利の中に反映されているのかは、商品によって違うということです。

そのため、複数の住宅ローンを比べるときは、表示金利だけでなく「団信の費用がどこに含まれているか」をそろえる必要があります。金利に含まれている商品と、別に保険料がかかる商品を金利だけで比べると、条件の違うものどうしの比較になります。見積書や商品説明書で、団信の費用の扱いを確認してください。

団信と、ほかの保険や家計との関係

全国銀行協会は、団信のほかに、ケガや病気で働けなくなった場合にローン返済の延滞を防ぐための債務返済支援保険も、住宅ローンに関係する保険として挙げています。団信は「ローンの残高を精算する」保険なので、返済中に収入が減った期間の生活費や、ローン以外の支出までは対象になりません。

すでに加入している生命保険や医療保険と保障が重なるかどうか、重なる部分をどう扱うかは、家計ごとの判断です。団信で精算される残高が年々減っていくこと(前の表)と、家族に必要なお金が時期によって変わることを並べて考えると、保障の過不足を確認しやすくなります。

申込みの時期と、試算での確認方法

【フラット35】の新築住宅購入の手続では、借入れの申込みと同時に団信の加入申込みを行い、申込時に加入する団信の種類などを選びます。途中から加入できるのは、契約者本人が亡くなり相続する場合など限られた場合だけなので、申込みの段階で内容を確認しておくことが大切です。

団信で精算される金額の目安を知るには、金利上昇シミュレーションに借入額・返済期間・金利を入れ、年別の返済表で各年末の残高を見てください。毎月の返済予算から借入額を考える段階なら、返済予算からの逆算で、返済額・期間・金利から元金の目安を確かめられます。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。