この記事のポイント
- 控除額は、証明書の年末残高×0.7%(100円未満切捨て)と控除限度額の小さい方です。
- 年末残高と取得対価の少ない方が基準になるため、契約書の取得対価も確認が必要です。
- 2か所以上から借りている場合は、すべての証明書の年末残高を合計して計算します。
- 申告に使うのは試算ではなく、金融機関が発行する証明書の数字です。
控除額は証明書の年末残高×0.7%から計算する
「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」は、借入先の金融機関等が発行する書類で、住宅ローン控除の計算の出発点になる年末残高が記載されています。国税庁 No.1211-1(令和8年4月1日現在法令等)では、初年度の確定申告にも、2年目以降の年末調整にも、この証明書を提出するとしています。2か所以上から借りている場合は、そのすべての証明書が必要です。
計算例として、証明書の年末残高が38,912,345円なら、0.7%は272,386.4円で、100円未満を切り捨てた272,300円が計算上の控除額です。ZEH水準省エネ住宅(控除限度額24.5万円)なら245,000円、認定住宅(31.5万円)なら272,300円がその年の控除額になります。
証明書の残高から控除額を出す4つの段階
- 年末残高を確認する:証明書に書かれた年末の残高を使います(複数の借入れがあれば合計)。
- 取得対価と比べる:住宅の取得対価(補助金や贈与の特例の額を差し引いた額)が年末残高より少なければ、取得対価を使います。
- 0.7%を掛けて100円未満を切り捨てる
- 控除限度額と比べる:住宅の区分と入居年で決まる控除限度額の小さい方が控除額です。
| 年末残高 | ×0.7% | 100円未満切捨て | 控除限度額 | 控除額 |
|---|---|---|---|---|
| 38,912,345円 | 272,386.4円 | 272,300円 | 245,000円(ZEH水準) | 245,000円 |
| 38,912,345円 | 272,386.4円 | 272,300円 | 315,000円(認定住宅) | 272,300円 |
| 19,876,543円 | 139,135.8円 | 139,100円 | 140,000円(省エネ基準適合) | 139,100円 |
3つ目の例のように、残高×0.7%が限度額をわずかに下回る年は、端数の切捨ても含めて証明書の数字どおりに計算します。
取得対価が残高より少ないと、取得対価が基準になる
年末残高が大きくても、控除の基準は年末残高と取得対価の少ない方です。計算例として、2026年4月に4000万円を借りてZEH水準省エネ住宅に入居し(35年・金利1%)、取得対価が3,900万円だったとします。1年目の年末残高は39,361,483円ですが、取得対価の3,900万円が基準になり、0.7%は273,000円、控除限度額24.5万円が上限なので控除額は245,000円です。2年目は残高38,395,692円が取得対価を下回るため、残高が基準になります。
この例では限度額が上限になるため結果は同じですが、限度額の大きい区分や、補助金・贈与の特例で取得対価が小さくなる場合は、取得対価が控除額を左右します。証明書の残高だけでなく、契約書で取得対価も確認しておきましょう。
2か所以上から借りている場合は残高を合計する
銀行のローンと別の借入先のローンを組み合わせるなど、2か所以上から借りている場合は、すべての証明書の年末残高を合計して計算します。計算例として、2026年4月に3000万円(35年・金利1%)と800万円(20年・金利1.5%)を借りた場合、1年目の年末残高はそれぞれ29,521,112円と7,770,160円で、合計37,291,272円です。
0.7%は261,000円なので、ZEH水準省エネ住宅なら控除限度額の245,000円、認定住宅なら261,000円が控除額です。取得対価が3,700万円なら、合計残高より取得対価が少ないため、3,700万円×0.7%=259,000円が基準になります。どちらかの証明書を出し忘れると、控除額が小さく計算されてしまうので注意しましょう。
- 3000万円・35年・1%
- 800万円・20年・1.5%
2つの借入れを同時に始めた場合。横軸は借入れからの経過年数で、暦年の年末とは区切りが異なります。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 経過 | 3000万円・35年・1% | 800万円・20年・1.5% |
|---|---|---|
| 0年後 | 30,000,000円 | 8,000,000円 |
| 5年後 | 26,329,333円 | 6,218,884円 |
| 10年後 | 22,470,554円 | 4,299,141円 |
| 15年後 | 18,414,014円 | 2,229,974円 |
| 20年後 | 14,149,581円 | 0円 |
| 25年後 | 9,666,599円 | 完済 |
| 30年後 | 4,953,867円 | 完済 |
| 35年後 | 0円 | 完済 |
確定申告と年末調整での使い方
- 初年度:確定申告書に、計算明細書や登記事項証明書などとともに添付して税務署に提出します。
- 2年目以降(給与所得者):税務署から送付される年末調整用の控除申告書と一緒に勤務先へ提出します。
- 2年目以降(確定申告をする場合):確定申告書に計算明細書と証明書を添付します。
証明書には、国税庁が「電磁的記録印刷書面」と呼ぶ書面も含まれます。「調書方式」に対応した金融機関から借りて適用申請書を提出している場合は、一部の提出書類が異なるため、借入先の案内を確認してください。証明書が年末調整に間に合わない場合の扱いは国税庁のQ&Aにも項目があります。国土交通省は、住宅金融支援機構の「融資額残高証明書」の見本を参考資料として紹介しています。
届いたら確認したい項目と、特別なケース
- 名義:控除を受ける本人の借入れの証明書か。ペアローンは2つのローンなので、それぞれの証明書を確認します。
- 連帯債務:連帯債務の場合は、「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」で自分の負担分の年末残高を計算します。
- 借り換えた場合:借換え直前の残高(A)より新しい借入額(B)が多いときは、新しいローンの年末残高(C)にA÷Bを掛けた額が控除の対象です(国税庁 No.1233)。証明書の残高をそのまま使えない場合があります。
- 敷地の借入金:土地の取得のための借入金も含める場合は、条件に応じた書類が追加で必要です。
借り換え後の計算は借り換え後の住宅ローン控除、夫婦で借りる場合はペアローンの住宅ローン控除で説明しています。
試算の残高と証明書の残高が違うとき
本サイトの住宅ローン控除シミュレーションは、元利均等・毎月返済・金利一定で返した場合の年末残高を計算します。実際の残高は、金利の見直し、ボーナス返済、繰上返済、返済日の位置などで試算と異なることがあります。申告に使うのは必ず証明書の数字です。
証明書の残高が試算より大きく違うときは、返済予定表や金融機関の通知で、金利や返済条件が変わっていないかを確認しましょう。返済予定表の読み方は返済予定表の読み方で説明しています。
証明書の数字で控除額を確かめる
証明書が届いたら、住宅ローン控除シミュレーションで同じ年の年末残高と控除額を確認し、証明書の残高×0.7%(100円未満切捨て)と限度額の小さい方になっているかを確かめてください。取得対価が借入額より少ない場合は、「住宅の取得対価」も入力します。
繰上返済をした年は、繰り上げ返済シミュレーションで減る利息を、控除額の変化とあわせて確認すると全体像がつかめます。
参照した情報
- 国税庁:No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
- 国税庁:No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき
- 国土交通省:認定長期優良住宅を取得したときに利用できる減税制度
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。